雨の多い季節に心にもしっとりと潤いを届けてくれるようなアジサイの花。あまり日本の花という印象はないかもしれませんが、れっきとした日本原産の花です。
アジサイが咲く観光スポットは例年ニュースになるほど賑わっていますし、結婚式のブーケや母の日に贈る鉢植え、切り花やドライと多様な楽しみ方で人気を博していますが、実はアジサイが人気の花になったのは近代に入ってから。
万葉集にも登場していますが、その数はわずか2首。鎌倉時代には園芸品種の改良が流行するものの、園芸ブームが盛り上がった江戸時代にはアジサイは逆に不人気に。その理由は、繁殖な容易なアジサイは商売にならないと植木屋に嫌われたためとも、アジサイは死者に手向ける花であることからイメージがいまいちだったためとも考えられています。
アジサイ人気がじわじわと盛り上がったのは、戦後になってから。長崎の出島にいたドイツ人医師シーボルトが欧州に持ち帰り、欧州で人気となり品種改良が進みました。それらの改良版アジサイが、日本に逆輸入されて人気を獲得するようになったのです。
アジサイの園芸品種はおよそ3000種。毎年、新しい品種が出るため正確な品種数は把握されていないほど多様な姿かたちに進化を遂げているようです。そんな、花々を100種類、3500株も楽しめるのが福岡市東区にある筥崎宮(はこざきぐう)のあじさい苑です。
筥崎宮は、日本三大八幡のひとつに数えられ、勝負運、厄除け、開運という心強いご利益のある神社です。福岡市営地下鉄箱崎宮前駅から徒歩3分、JR鹿児島線箱崎駅から徒歩8分と、電車でのアクセスも良いロケーションに鎮座しています。
あじさい苑があるのは境内の西奥。毎年6月の1ヶ月間限定で開苑しています。敷地は約1700坪。広々とした敷地に咲くアジサイを散策しながら愛でるだけでなく、国指定重要文化財の社殿のコラボレーションも楽しめます。
アジサイの品種は、深みのある青色が美しいブルーダイヤモンドなどの西洋アジサイや、花火のように星型の花が飛び出す八重咲きのガクアジサイ墨田の花火など、多種多様。また、神苑花庭園では約30品種5,000本のユリの花も見頃を迎え花を巡る境内さんぽを楽しめます。