たくさんのソメイヨシノに匹敵するとも言われるのが福島県白河市の南湖神社(なんこじんじゃ)の御神木、楽翁桜。樹齢約200年、幹の太さは250cmを超えるという大樹です。枝垂れるサクラの花々は、ソメイヨシノよりも濃いピンク色、そばに立って見上げれば桜色に染まる世界にすっぽりと入り込んだようでとっても神秘的。一度は眺めてみたいと全国から参拝する人が訪れています。
楽翁桜は、松平定信公により植えられたことから、定信公の別名「白河楽翁」にちなみ名付けられました。
定信公といえば、白河藩主として天明の飢饉を、一人の餓死者も出さずに乗り切ったこと、藩の財政を建て直したことなどから名君として知られています。
そんな定信公が、身分の差に関係なく誰もが楽しめる「士民共楽」という理念をもとに南湖(現在の南湖公園)を築造し、楽翁桜もこのときに植えられました。
楽翁桜の開花は例年4月上旬から中旬。神社の周囲にある南湖公園にもおよそ800本のサクラが植えられており、開花時期が近いことからあわせてお花見を楽しむこともできます。
楽翁桜は、開花にあわせてライトアップも開催されていますが、こちらも一見の価値あり。昼は公園でお花見し、夜は神社の御神木のライトアップで幻想的な光景に出会う、そんな贅沢な春の一日をかなえてくれます。
南湖神社の御祭神は、松平定信公。まさに「士民共楽」が実現している現代と、素晴らしいお花見の場を作ってくださった御祭神に感謝を捧げたいものですね。