「申し分のない愛らしさ」。
そんな花言葉を持つカンツバキは、本格的な冬の足音が聞こえる11月ころから、雪の降る季節まで、花の少ない季節に目を楽しませてくれる貴重な花木です。
花の色は、赤のほかにピンクや白など。生け垣や公園、もちろん神社の境内でも見ることができます。
同じような時季に咲く、サザンカにも似た花をつけ、サザンカとツバキの交配種ともいわれていますが諸説あり、見分けるのは困難です。
カンツバキは、比較的開花時期が長いため、紅葉や雪景色とともに楽しめるのが魅力。花に顔を寄せると、かすかに甘い香りがするので、目と香りで愛でて冬の訪れを感じてみてください。
カンツバキの名所のひとつとなっているのが、フクロウの神社として知られる鷲子山上神社(とりのこさんしょうじんじゃ)。
神社までの道は車1台分しかないような狭い山道です。それもそのはず、神社があるのは標高470mの山の上。山全体が御神域とされ、神社の前に立てば山中の静謐な空気を感じることができます。
フクロウの所以は、御祭神の天日鷲命(あめのひわしのみこと)の神使がフクロウであるため。フクロウが「不苦労」につながるとされ、幸福を呼ぶ神鳥として崇敬されてきました。境内には日本一の大きさのフクロウ像をはじめ、たくさんのフクロウ像が置かれています。
お目当てのカンツバキは、本殿の東側にある「寒椿ロード」と呼ばれる遊歩道を中心に、約300本が植樹されています。例年の咲き始めは12月。気温により2月末まで開花が続く年もあり、長期間にわたり花が楽しめます。
起伏のある境内を、カンツバキとフクロウを見ながら1周すれば、ほどよく身体があたたまるでしょう。