春の訪れを知らせる花のひとつとされ、お正月に飾られることも多いスイセン。厳しい冬の寒さに負けず、美しい花を咲かせるため、縁起の良い花とされています。日本でもすっかりおなじみの花ですが、実は海外から日本にやってきた花です。いつ頃日本にやってきたのか、はっきりとはわかっていません。しかし、福井市に残る伝説にはスイセンに化身した娘の話があり、時期は平安時代末頃とされています。ですからその頃にはすでに、スイセンは日本でも花を咲かせていたのではないでしょうか。
日本の気候はスイセンに合っていたようで、現在では全国にいくつもの群生スポットがあります。海沿いや山の傾斜地など、抜群のロケーションとともに冬のお花見を楽しめます。
スイセンの甘い香りに包まれて参拝できる神社もあります。大阪・八尾市の玉祖神社(たまのおやじんじゃ)もそのひとつ。創建は和銅3年(710年)と古く、同名の周防国一宮の分霊を勧請したものだといわれています。社名は日本神話『古事記』に登場する神さまの玉祖命(たまのおやのみこと)に由来。玉祖命は、玉作りを業とする玉造部の祖神とされる神さまです。この辺りにはかつて玉造部の人々がたくさん暮らしていたことから、玉造部の祖神を祀ったのだと考えられています。
神社隣りの傾斜地では、毎年冬になるとたくさんのスイセンが咲き誇ります。10数年前にボランティアの人々が球根を植えてから、スイセン畑は徐々に広がり、現在では約2000uもの規模となっています。
見頃は1月上旬〜中旬。玉祖神社のある高安山はハイキングコースも整備されていて、大阪平野とスイセン畑を一望できます。冬晴れの日を狙って、参拝と絶景ハイキングを楽しんでみてはいかがでしょうか?