近鉄奈良駅から徒歩15分。奈良市の春日野にある氷室神社(ひむろじんじゃ)では、6月15日から9月15日ごろまでかき氷を奉納する「献氷参拝」がおこなわれています。
「献氷参拝」とは、社務所でかき氷を受け取り神前で拝礼をしたのちに、お下がりのかき氷をいただけるというもの。使用しているのは「純氷」という、溶けにくく不純物の少ないおいしい氷。シンプルなシロップをかけていただけば、ほてった体をひんやり冷やし、清涼な気分を楽しめそうです。
氷室神社は、冷凍氷業界の崇敬を集める「冷凍貯蔵技術の守り神」。御祭神は、闘鶏稲置大山主命(つげのいなぎおおやまぬしのみこと)、大鷦鷯命(おおささぎのみこと)、額田大仲彦命(ぬかたのおおなかつひこのみこと)の3柱です。
氷室神社が「冷凍貯蔵技術の守り神」とされるのは、額田大仲彦命が奈良のつげ(=闘鶏、現在の奈良県天理市)に猟にでかけたときに、地元の豪族である闘鶏稲置大山主命が営む氷室を発見し紹介したことに由来します。この氷を仁徳天皇(大鷦鷯命)に献上したことが祭神に関わる逸話として日本書紀に記されています。のちに平城京がつくられる際に勅命により都祁(現在の奈良県天理市福住)から分霊をいただき春日野に(現在の奈良県奈良市春日野町)に氷室の守り神が祀られたそう。奈良時代には、春日野で氷にまつわる祭祀が盛んに行われ、このことから現在も冷凍氷業界の守り神として信仰を集めているそうです。
氷室神社では、毎月ついたちに、「氷献灯」もおこなわれています。御祭神を喜ばせようと12年ほどまえから始まった行事で、境内の参道を照らすように配置された氷のキャンドルライトはとっても幻想的。
日没から21時ごろまで点灯されますが、暑い時期は早めに氷が溶けてしまうので早い時間に参拝するのがおすすめです。
基本的には毎月1日におこなわれますが、8月は15日、9月は30日など2回実施される月も。公式サイトで予定が公開されているので、確認して夜の参拝を楽しんでみてはいかがでしょうか?