アジサイといえば、梅雨時の花の代表格。日本原産の花で、日本から世界へと広がった品種でもあります。
今ではすっかりお馴染みの花ですが、実はほとんど注目を浴びてこなかったという不思議な歴史を持っています。日本最古の詩集『万葉集』は、全4516首のうち、約1700首に植物が詠まれていますが、アジサイが登場するのは、わずかに2首。平安時代の『古今和歌集』にも登場はゼロ。園芸文化が花開いた江戸時代にも、アジサイの人気はイマイチだったようです。
現在のアジサイ人気のきっかけを作ったのは、鎖国時代に出島を訪れていたドイツ人医師・博物学者のフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトです。西洋人の目にはアジサイが魅力的に映ったようで、祖国に戻ったあとアジサイを紹介するとともに日本人妻楠本滝の名前をアジサイに付けようと申請したという記録が残されています。
その後、フランス・アメリカなどで品種改良が行われるようになり、日本に西洋アジサイの品種が逆輸入されてヒットし、花の名所が数多く誕生しました。
たくさんのアジサイの名所がある中でもスケールの大きさが魅力なのが、栃木県栃木市の大平山神社(おおひらさんじんじゃ)。
大平山神社があるのは標高約340mの山頂。連祥院六角堂の横から太平山神社の随神門まで続く表参道は「あじさい坂」と呼ばれ、1000段の石段の両側に約2500種のアジサイが鮮やかに咲き誇ります。
さらにその先、隋神門から本殿の間の石段沿いにもアジサイがありますが一気に上るのが厳しい人は、途中のあじさい茶屋でひと休みするのもおすすめです。