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2020.05
春らしさ満点
満開のつつじを求めて東北へ

清少納言も好んだ華やかな躑躅色


5月に見頃を迎えるつつじの花言葉をご存知ですか? つつじ全体では「節度・慎み」ですが、色ごとに違った意味もあり、ピンクは「愛の喜び」、白は「初恋」、紫は「美しい人」とどれも情熱的です。確かに、つつじが一斉に花開く様子は燃え上がる恋心のように華やか。心が浮き立つような花らしい光景です。
ちなみに、つつじの鮮やかなピンク色は「躑躅色(つつじいろ)」と呼ばれる伝統色で、平安時代から人気の色でした。あの清少納言も『枕草子』に「下襲(しもかさね)は冬は躑躅(つつじ)、桜」と、当時の男性の好ましい装いについて記したほど。重ね着にピンクを選ぶとは、なかなかの洒落者。つつじは、今も昔も人の目を引き、魅了する色なのです。


江戸時代にはつつじが一大ブームになりました。品種改良が進められ、現在では2000種ほどもあるそうです。

大輪の花が舞鶴山の斜面を染める


東北のつつじの名所のひとつが、山形県天童市にある建勲神社(たけいさおじんじゃ)です。5月になると境内の1万株のつつじが満開となり、赤や躑躅色のグラデーションで参拝客を魅了します。
この建勲神社が祀るのは戦国時代の武将・織田信長公。信長公の次男信勝(のぶかつ)の子孫が江戸時代後期に天童藩藩主となり、戊辰戦争で新政府軍に味方したことから功績が認められ、明治に入り舞鶴山に建勲神社が創建されました。毎年6月に行われる「信長公祭」ではお神酒に赤ワインが奉納されるとか。新しい物好きな信長公らしいですね。
境内には赤ワインのような真紅のつつじもあります。信長公に大願成就を願いつつ、春らしさを味わうにはもってこいの場所です。


建勲神社には樹齢200年のアカマツの社叢(しゃそう)があり、山つつじとのコラボレーションも楽しめます。