二十四節気では、10月24日から11月6日ごろまでを「霜降」といい、北国や山里では霜が降り始める季節だとされています。
紅葉の便りも届きつつあるこの季節に、彩りを添えてくれるのがサザンカの花。10月から12月ごろに花の最盛期を迎えます。
サザンカは日本原産の園芸品種。野生種は6〜7弁の一重咲きの白花ですが、江戸時代の園芸ブームの一端を担い、桃色や紅色の花に加え、八重咲きなどの華やかなものもたくさん作られました。
明治時代中期には江戸時代に発達したサザンカの園芸品種の番付『茶梅花大集』が発行されています。掲載された数は、95品種。それぞれに、花の形をイメージさせる名前が付けられ、愛され育まれてきたことを感じさせてくれます。
日本で長く愛されてきたサザンカは、庭園ではおなじみの花木です。京都府宮津市の宮津山王宮日吉神社(みやづさんのうぐうひよしじんじゃ)にある「漱玉亭大さざんか」も、江戸時代初期に作庭された際に植えられたもの。当時の藩主、京極侯が造った庭園に植えられた木で、400年の長きにわたり多くの人に愛でられてきました。
樹形は、お椀を伏せたような丸い形で、大きさは左右10m、高さ8.7m。11月初めに淡いピンクの花をつけ始め、12月には後ろに立つもみじの紅葉とのコラボレーションも楽しめます。
宮津山王日吉神社は、宮津城下を見下ろす丘の上に建つ宮津の総氏神。周辺には天橋立などの観光スポットもあるので晩秋のドライブがてら立ち寄ってみてはいかがでしょうか?