福島県白河市にある南湖公園は、松平定信公が作った「日本最古の公園」です。
定信公といえば、第11代将軍徳川家斉のもとで寛政の改革をおこなったことでおなじみ。
「白河の清きに魚も住みかねて もとの濁りの田沼恋しき」なんて歌で改革を揶揄されたため、カタブツのイメージが定着していますが、藩政では庶民のために尽力した人物でもあります。
その名残をいまも体感できるのが、南湖公園です。身分の差を越え、誰もが憩える「士民共楽」という理念を掲げ、定信公が湖を中心にした地を開放したのが南湖公園のはじまりでした。
園内には、定信公を御祭神とした南湖神社(なんこじんじゃ)があります。各地の崇敬者と当時の財界の巨頭、渋沢栄一の尽力により、大正11年に設立されました。境内には定信ゆかりの茶室「松風亭蘿月庵」や定信公が植えたとされる桜の銘木「楽翁桜」があり、定信公を偲ぶことができるスポットとなっています。
南湖公園の名物の南湖団子は、定信公が公園を作る職人たちにふるまったのがはじまりで、以来連綿と受け継がれてきたもの。公園とおなじく、約200年の歴史がある名物ということになります。
現在南湖団子の店舗は数軒あり、店ごとにしのぎをけずっているので食べ比べてみるのもおすすめです。公園の中心にある南湖は、小道が巡らされているので散歩にぴったり。ひと休みがてら、団子で一服してみるのはいかがでしょうか?