「すみよっさん」の愛称で親しまれる摂津国の一宮、住吉大社(すみよしたいしゃ)。全国約2300社ある住吉神社の総本社であり、商売を営む人々からは「住吉のえべっさん」と崇敬されています。1月には大阪最古のえびす祭、市戎大国社例祭がおこなわれ、また初詣は毎年約230万人が訪れにぎわう、大阪を代表する神社の一社です。
約3万坪の敷地の奥に鎮まる社殿は、お祀りする4柱の神さまそれぞれに御宮が設けられ、第一本宮から第四本宮まで4つの御宮が入口から奥に向かって縦に並ぶ珍しい造り。
神社周辺は阪堺電軌の路面電車が走り、下町情緒あふれる商店街が残ります。
「洋食やろく本店」が、住吉大社そばで創業したのが昭和10年(1935年)。看板メニューの玉子コロッケは創業当初、仏語でクロケットドゥーフ″と呼ばれていました。なめらかなクリームソースをベースに玉子、えび、ハムが入ります。割ってみると中の色が黄色なのは玉子の黄身の色かと思いきや、隠し味のカレー粉というところがミソ。現在は3代目が本店を、4代目が持ち帰り専門店でコロッケの味を守っています。「冷めても味がしっかりしています」という玉子コロッケは、平日でも300〜400個以上が売れるのだそう。
住吉大社との縁は深く「やろく」のHPには「ご近所住吉大社について」というページがあり住吉大社とのかかわりや、お祭りなどが紹介されています。「毎月2回、1日と辰の日にコロッケをご奉納させていただいております。すみよっさんあっての当店ですから」と語るのは、3代目の多田喜景さん。
こだわりは1日2回、揚げ油をろ過し、常に新鮮できれいな油で揚げること。
神社の参拝者はもちろん、古くから有名作家や文学者など著名人にも愛され続けてきたやろくの玉子コロッケ。ジャズが流れる本店でナイフとフォークで味わうもよし。本店から徒歩1分の南海住吉大社駅高架下にある持ち帰り専門店で、カジュアルに楽しむこともできます。