東京・青梅市の武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)に初めて訪れて、「おおっ」となるのがその周辺に広がる宿坊街。
これが、アクセスの良い場所にあるのなら驚きもないのですが、神社が鎮座するのは標高1000m近い御岳山山頂。ケーブルカーで登った先に、自然豊かな小さな集落が広がっているのです。
今回は、この宿坊街のなかの1軒、藤本荘でのランチをお目当てに、御岳山を訪れてみました。藤本荘があるのは、ケーブルカーを降りてから神社方面に歩いて5分ほどの場所。ケーブルカーの駅から宿坊街、神社までの道は舗装されているので運動靴でなくてもOKです。
道中には、歴史を感じる宿坊が点在し、石垣の道も味わいのある雰囲気を醸し出しています。御岳山は山岳信仰の聖地として、江戸時代には、麓もあわせると最盛期で60軒もの宿坊がありました。現在は、山の上に26軒、麓に5軒、あわせて31軒が営業しています。これらの宿坊の方は、神職として神社にも奉仕されているそう。武蔵御嶽神社でおもに神職を務めているのは12軒の宿坊のご主人ですが、藤本荘のご主人もそのうちの一人です。そう聞くと、ランチもありがたいものに感じるから不思議です。
あらかじめ予約しておいたのは、3000円のコース。ほかに2000円、4000円のコースがあります。かなり人気が高いようで平日にもかかわらず予約が取れる日が限られていました。
料理担当は女将さん。秋の人気メニューいがぐり揚げやざくろ酒の先付けからはじまった料理は、手づくりの刺身こんにゃくやご主人が本栖湖で釣ってきたヒメマス、北海道で崇敬者の方が育てたふきのとうなど、滋味豊かなものばかり。まさかと思うほどの品数とボリュームは、同行した男性もギブアップしそうなほど。味も見た目もよく、街中では考えられないほどコスパも大満足なコースでした。
食後は、もう一つのお目当てである武蔵御嶽神社へ。こちらは、実は筆者の好きな神社ランキングベスト10に入る神社。華やかな社殿、素晴らしい景色が訪れる度に清々しい気持ちにさせてくれる神社です。満腹で重くなったおなかには上り坂や階段は大変厳しいものがありましたが、素晴らしい秋晴れのなか気持ちよく参拝することができました。