本格的な春の訪れを告げてくれる桜の花。
桜は、バラ科サクラ亜科サクラ亜属に分類される低木の樹木です。原種はエドヒガン、オオシマザクラ、ヤマザクラ、カンヒザクラなど5種と、これらが混じってできた数十種類の自生種があります。
桜前線でもおなじみのソメイヨシノは、エドヒガン系とオオシマザクラを掛け合わせて生まれた園芸品種。江戸時代に開発された比較的新しい桜です。
ソメイヨシノ以外にも園芸品種は多数あり、現在も新品種が発表されています。
数ある桜の品種のなかでも門外不出とされているのが「天下第一の桜」と言われる高遠の桜、タカトオコヒガンザクラです。長野県伊那市生まれの固有種で、エドヒガンとマメザクラの遺伝子を持ち、ソメイヨシノよりも赤みの強い花を持っているため開花時はひときわ華やか。約1,500本のタカトオコヒガンザクラが咲く高遠城址公園には、例年約20万人もの観光客が訪れています。
高遠城址公園は、戦国時代の歴史ロマンを感じられるスポットでもあります。高遠城最大の戦いは、天正10年(1582年)武田信玄の五男仁科五郎盛信と織田信長の長男信忠によるもの。高遠城を守る仁科勢の兵は3千、対する織田勢は5万と圧倒的で、盛信は壮絶な死を遂げました。
果敢な戦いぶりは地元でたたえられ「最期は腹を切って敵にはらわたを投げつけた」ともいわれ、そのため「高遠の桜は“赤い”」という話も伝えられているとか。
盛信公は高遠城址公園の西の端にある新城藤原神社(しんじょうふじわらじんじゃ)に祀られているので、戦国時代に思いをはせて参拝してみてはいかがでしょうか?