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2017.05
紫に染まる神社
春日大社へ藤のお花見

藤色は、高貴で優美な特別な色彩



4月下旬から5月に咲く藤は、春の花木として親しまれるつる性の植物です。
小花をつけた長い花房が垂れ下がる藤棚の下を歩くと、ほのかな甘い香りに包まれ、このうえなく至福の気分にさせてくれます。
姿や香りはもちろん、もっとも惹かれるのはその花色。
淡い青みのある紫色はまさに藤色と呼ばれ、平安時代には若紫とも呼ばれていました。また、聖徳太子が定めた日本初の位階制度、冠位十二階で最上位は紫色で、その154年後に制定された法典、養老律令の中での衣服令でも、紫色は最上位でした。
古くから高貴で優美な色とされてきた紫色。紫色の服や小物を身に付けると、少し特別な気持ちになれる、不思議な力を持つ色でもあります。


藤の中で、もっとも紫色の濃い花を咲かせる「黒龍藤」。「藤の園」のメインの品種で、別名・野田三尺藤とも呼ばれます。

藤とゆかりが深い春日大社。慶賀門を入ると樹齢700年ともいわれる「砂ずりの藤」があり、花房が1m以上にもなるのだそうです。

世界遺産の春日大社で藤を堪能



奈良・春日大社(かすがたいしゃ)は、国家・国民の繁栄を願うお社であるとともに、藤原氏の氏神さまでもあります。社紋は下がり藤で、藤と縁の深い神社としても知られています。
春日大社には、万葉集に詠まれた植物約300種類を植栽する萬葉植物園があり、いにしえの自然の山野を今に再現する、約9000坪の庭園が広がります。
中でも、もっとも数多く植えられているのが藤です。園内南端の「藤の園」には、濃いピンク色の花を咲かせる「昭和紅藤」や、独特の香りが漂う中国の「麝香(じゃこう)藤」など、20品種約200本の藤の木が4月末~5月にかけて次々に花を咲かせます。早咲きから遅咲きまで順次開花していき、花が楽しめる期間は毎年2週間程度。ゴールデンウイークが開花のピークです。
「藤の園」の特徴は、棚造りではなく立ち木造りとして仕立てられていること。棚造りのように花房を見上げるのではなく、歩きながら自然な目線で藤を観賞することができます。
国内でも指折りの藤の名所、春日大社の萬葉植物園。お出かけの際の開花状況はHPでご確認を。

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