「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花
あるじなしとて 春な忘れそ」
(春風が吹いたら、香りをその風に託して大宰府まで送り届けてくれ、梅の花よ。主人である私がいないからといって、春を忘れてはならないぞ)
梅をこよなく愛したと伝わる菅原道真公。
天満宮、天神社などに祀られ、学業の神さまとしてよく知られています。
最初に記した歌は、菅原道真が左大臣藤原時平の政略により、大宰府に突如左遷されることとなったときに詠んだもの。
紅梅殿(現在の北菅大臣神社)と呼ばれた菅原家の邸宅には、美しい梅の木があり、無実の罪で京を離れる寂しさを梅に託したものだとされています。
大宰府天満宮(だざいふてんまんぐう)境内の梅の木には、紅梅御殿から一夜にして道真公のもとに飛んできたものだという飛び梅伝説が残されています。
梅の花が美しく咲く様子だけは、都も太宰府も変わらないもの。飛梅伝説は、道真公の晩年が、せめて梅に慰められたものであって欲しいという思いから生まれたものなのかもしれません。
道真公が梅を好んだことから、天神社の多くは梅の木が植えられています。
特に有名なのは、50種1500本を誇る京都の北野天満宮(きたのてんまんぐう)の梅苑。早咲きの梅が12月中旬から咲き始め、2月下旬から3月上旬に最盛期を迎えます。
北野天満宮に次ぐ規模を誇る梅があるのが、山口の防府天満宮(ほうふてんまんぐう)。境内いっぱいに咲き誇る約16種類1100本の梅の花を、梅まつりのイベントとともに楽しむことができます。
ほかにも、各地で梅まつりが開催されるので、近くの天神さまを探してみてはいかがでしょうか?