伊勢神宮の毎月1日名物、赤福朔日餅。
前編に続いて、朔日餅を手に入れるまでの長い道のりをご紹介します。
深夜3時30分に赤福本店へ集合しなければならないという、電車アクセス派には高いハードルを、レンタカーという飛び道具でなんとか可能にしたW。
2時過ぎにホテルを出発し、少々迷ったものの朔日餅用の臨時駐車場に到着しました。駐車場からはシャトルバスが運行されているというアナウンスでしたが、ここで問題勃発。
シャトルバス乗り場はすでに長蛇の列ができているうえに、現れたのはバスというよりどう見てもワンボックスです。
10人ほどしか乗れないため、列は少ししか進みません。
昨日もらった「受付番号表」には「午前3時30分の列整理券引替えを過ぎますと無効になります」の文字が。万が一にも遅れることはできないため、小雨が降るなか徒歩で赤福本店へ向かうことに。
臨時駐車場から赤福本店は徒歩15分ほどの距離だったので、歩くことにして大正解。無事に集合場所へ到着すると、今度は「受付番号表」と「列整理券」の引き替えです。
時間どおりにはじまった引き替えは、びっくりするほどのんびりとしたものだったようです。
「1番の人~」と声がかかったら券を持っている人が前へ出て、引き替えてもらう。これの繰り返し。
せっかちな東京人としては、100番ごとに分けて10人で配布すればあっという間に終わるのでは、なんて思ってしまいますが、周囲にいる人たちは特に疑問もないようで、のんびりと順番を待っていたそう。さすが悠久の時を超えた神宮の時間の流れは違います。
Wものんびり構えて、およそ40分で「列整理券」を200番の番号札に引き替えてもらうことができました。
あとは開店15分前の4時30分に列に並ぶまで待つのみです。
おかげ横丁は、ついたち限定で早朝オープンしている店が多いので、うどんを食べたり朝市をのぞいたりして開店までの待ち時間をつぶすのにぴったりだったそうです。
4時30分すこし前になると、「1~ 200」のように番号が書かれたプラカードが立てられ、列整理券の順番どおりに周囲の人が並びはじめます。
プラカードを持っていたスタッフによると、10月の朔日餅である「栗餅」が1年のなかで一番人気だそうで、1000番くらいまで整理券が出ているとのこと。
また、200番なら小一時間で購入できるだろうと教えてくれたそうです。
開店からじわじわと列が進み、Wがついに朔日餅を購入したのは5時45分。
知り合いにも配って、その日のうちにすべて食べたようですが、「想像以上においしい!栗あんが、口のなかで餅米とほどよくからまって最高!」とのことでした。
おはぎ嫌いの知人も大絶賛だったそうです。
いきあたりばったりながら、なんとか朔日餅を手に入れておいしくいただくことができたWでしたが、最後に腑に落ちないことがあったとか。
それは、赤福本店の店内でも朔日餅が食べられるようだったということ。
店内向け整理券はなく、さほど並んでいなかったそうです。
さらに、パンフレットやホームページには、本店はもちろん各地の直営店で予約購入ができることが、懇切丁寧に書かれています。
ということは、「あの長蛇の列は朔日餅を食べたいがためのものではない」ということになります。
そこで、おかげ横丁から徒歩圏のお宅へお嫁にいったライターの知人に問い合わせてみると「朔日餅は自分で食べるために買うものではなくて、近所や親戚、知り合いに配るもの。朔日参りの日に並んで買うことに意味がある縁起物なのよ。東京から来てアクセスが悪いって言っても、地元の人くらいしか並ばないんじゃないの?」とのお言葉でした。
なるほど。いただく方からすると深夜から並んで手に入れてもらったものだと思えば、ありがたさが増します。
でも伊勢神宮はホームページにも書かれているように「日本人の心のふるさと」のはず。
朔日餅も、地元の人たちだけでなく電車で訪れた人たちにも、もうすこし購入しやすくなるといいような気がします。