「世の中に 絶えて桜の なかりせば
春の心は のどけからまし」
と詠んだのは、平安時代きっての美男子でプレイボーイとして伝えられる在原業平(ありわらのなりひら)。
現代語訳では「この世に桜というものがなければ、春を迎える人の心はのどかでいられるだろう」という意味ですが、「いつ散るか、いつ散るか」とはらはらする気持ちを詠むことで、はかない花の命の美しさを際立てています。
恋多き男・業平らしいロマンチックな俳句です。
桜は、はかなく散ってこそ美しいもの。
特に水面を染める花びらは格別の美しさがあります。
濠にむかって枝垂れる桜が見られるのが、山形県米沢市の上杉神社(うえすぎじんじゃ)が鎮座する松が岬公園。
米沢城の城址を利用した公園で、周囲を囲む濠沿いを中心に200本の桜が植樹されています。
多くの桜が100年を超す古木で、堂々とした枝ぶりの木が多いのが魅力。米沢市きっての桜の名所で、水面を染める桜の美しさは格別で毎年多くの花見客が訪れています。
また、上杉神社の御祭神は「越後の虎」と呼ばれた戦国武将・上杉謙信公なので戦国時代好きのお花見にもおすすめ。
公園内には上杉神社以外にも上杉神社宝物殿(稽照殿)、上杉博物館、上杉城史苑などがあり、上杉家の歴史にまつわるスポットをめぐることができます。