切なさも似合う春の花
ウグイスの鳴き声は「ホーホケキョ」。 では、同じく春を告げる鳥、ホトトギスの鳴き声は? 答えは「テッペンカケタカ」。 江戸後期の百科事典的な書物『古今要覧稿』でも登場し、どこか切ないような鳴き方の代名詞になりました。 万葉集にはホトトギスと藤を題材にこんな歌が残されています。 ほととぎす、来鳴なきとよもす、 をかへなる、藤波見には、君は来じとや 「ホトトギスが鳴いている丘へ、藤を見にあなたはこないのかしら」 陽光に似合う春の花々のなかで、ひときわたおやかな印象の藤の花。 ホトトギスの鳴き声のように、どこか切ない印象を作者に与えたのかもしれません。
花びらのシャンデリアのよう。 ライトアップは今がみごろ
藤の花を観賞用にするには藤棚に仕立てるのが一般的。 樹齢100年以上の長寿になると、1本の藤の木から枝が四方に伸び、数百uにもおよぶ藤の天井になります。 最近は、この藤棚をライトアップして見せる趣向が広がってきました。 福岡県の天然記念物の大中臣神社の境内に咲く藤は、樹齢650年と推定される巨木。天平14年(1359年)に合戦で負傷した征西将軍懐良親王が大中臣神社で手当を受け藤の木を奉納したため「将軍藤」と呼ばれています。 広さ500uの藤棚は、5月5日までの藤まつりの期間中ライトアップを予定。花びらののシャンデリアがどこまでも続く夢のような景色を楽しむことができます。夜の藤は、いっそう香りが立つので、甘い芳香に酔いながら藤観賞を楽しんでください。
藤が咲く神社
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