1. 【福井・勝山市/平泉寺白山神社】
苔と御神木がつるく神秘的な緑の世界
2. 【京都・京都市左京区/貴船神社】
水の音とマイナスイオンに癒やされる
3. 【熊本・高森町/上色見熊野座神社】
雨の日限定!SNSで話題の「異世界への入り口」
「苔宮」「苔寺」と呼ばれ、境内一面が苔で覆われた絶景が人気を集めているのが福井県にある平泉寺白山神社(へいせんじはくさんじんじゃ)です。
苔寺といえば、京都の西芳寺が有名ですが、西芳寺が人の手によりつくられた景観という印象を受けるのに対し、こちらは自然のままに豊かに育った苔の景色が魅力。広大な境内のほぼすべてが苔で覆われ、幻想の世界に迷い込んだような錯覚に陥ります。
作家・司馬遼太郎も「京都の苔寺の苔など、この境内にひろがる苔の規模と質からみれば、笑止なほどであった」(『街道をゆく 18』朝日新聞出版刊)と、その感動を綴ったほど。まさに圧巻の苔の世界です。
平泉寺が開山したのは約1300年前。古くから信仰の対象となってきた白山の麓で、白山信仰の拠点として栄えました。最盛期の戦国時代には、48の神社、36の寺院、6000の坊院を持ち、8000人もの僧兵が暮らしていたそう。当時最大規模の宗教都市だったとされています。
明治時代に入ると神仏分離令により白山神社となりましたが、地名の「平泉寺」が残り現在の社名で親しまれています。
緑に覆われる境内は、シャッターを押す手が止まらないような美しい景色があちこちにありますが、必見なのが鏡のように静まり苔と杉を映す御手洗池。この池には、泰澄(たいちょう)という僧が白山の女神に出会いお告げを受けて平泉寺を開いたという伝説も伝えられています。
中世の遺跡として国内最大級の石敷道など、周辺にも見どころが多いためすべて巡るには2〜3時間、神社に参拝するだけでも30分はかかります。
時間に余裕をもって訪れ、ゆったりと苔の世界に浸る時間をお楽しみください。
どこにいても水の音が聞こえ、水滴を抱えた苔が発光するように輝く…。京都の奥座敷に鎮まる貴船神社(きふねじんじゃ)は、みずみずしい空気に満ちたスポットです。
それもそのはず、御祭神は高龗神(たかおかみのかみ)という水の神さまなのです。「きふね」は気の生ずる根源の地として「氣生根」とも記されていました。境内の御神気にふれることで気が満ちるとされる、古来伝わる由緒正しいパワースポットです。
貴船神社は、全国に約450社ある貴船神社の総本社。社記には起源として「国家安穏 万民守護のため 太古 丑の年の丑の月の丑の日に、天上より貴船山中中腹 鏡岩に天降れり」という伝説が記されています。歴代朝廷からの崇敬も篤く、日照りが続いたり水不足がおこったりすると、馬を献じて、雨乞いや雨止みが祈願されてきました。この、祈念の際に馬を献じることが絵馬の発祥につながったとされ、貴船神社は絵馬発祥の地としても知られています。
水の気配に満ちた貴船神社の境内は、どこも梅雨の景色がよく似合います。なかでもおすすめは、本社の石畳の参道と奥社の楼門。周囲の緑とともにみずみずしく美しい景色が楽しめます。
そんな貴船神社には、突然の雨にうれしい傘の授与品も。「きふね」の文字が淡いモノグラムで入るおしゃれなデザインなので、「氣」をいただいた記念にしてみてはいかがでしょうか。
最後にご紹介するのは、「異世界への入り口」と話題になっている上色見熊野座神社(かみしきくまのざじんじゃ)。熊本県の南阿蘇エリア、阿蘇山の奥座敷として知られる高森町にひっそりと佇んでいます。
映画『るろうに剣心』のロケ地だったこともありInstagramで拡散され、一度は訪れたいスポットとして知られるようになりました。
人気の理由は、荘厳な趣のある参道。およそ100基の灯籠がどこまでも続く参道に並び、周囲には人が立ち入ることが許されないような神聖な空気を纏う杉木立が広がります。カラッと晴れた日中よりも、雨の日や早朝の霧が立ち上る時間に最も神秘的な景色が現れるので、タイミングを見計らって訪れるのがおすすめです。
石段を登ると、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)、伊邪那美命(いざなみのみこと)、石君大将軍を祀る社殿が現れます。御神木のナギの葉は横に引きちぎるには相当な力が必要なことから、異性や大切な人との縁結びのご利益を願う人が多く訪れています。
神殿を抜けた先には、縦横10m以上の大風穴、穿戸岩(うげといわ)があります。この岩は、健磐竜命(たけいわたつのみこと)の従者・鬼八法師(きはちほうし)が蹴破ったという伝説が残されています。巨大な岩山を大きな穴が貫いていることから、努力を貫き困難を達成できる合格・必勝のご利益があるとされています。