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特集 vol.293
ご利益のある神さまをリサーチ
ドコイク?交通安全祈願
八百万の神々のなかでも、交通安全祈願に御神徳があるとされる神さまと神社をご紹介。春の新生活に向けて、通勤・通学時の無事を願ってみませんか?

まずは氏神神社を調べてみよう


日本には、およそ8万8000社以上の神社があるとされています。たくさんの神社のなかで、どの神社が交通安全祈願にご利益があるのか迷ってしまう人も多いのではないでしょうか?
迷ったときに、まず検討したいのが身近にある氏神神社。氏神神社とは、住んでいる地域の氏神さまをお祀りする神社のこと。もともとは、文字通り氏姓を同じくする氏族のあいだで、祖神やご縁の深い神さまを祀ったことに由来しています。交通安全祈願に限らず、七五三や結婚、厄払いなどの節目ごとの行事でも氏神神社に参拝すれば、土地の守り神の御神徳がいただけそうですね。
氏神神社がわからない場合は、各都道府県の神社庁のサイトで確認してみましょう。



道の神さまとして知られるサルタヒコノカミ


氏神神社でご祈祷ができない場合や、やはり交通安全祈願のご神徳がある神社へ行きたいという場合もあります。どのような神さまが交通安全の御神徳があるのでしょうか?

交通安全の神さまとして、よく御神名があがるのはサルタヒコです。天孫降臨の際にニニギを道案内したことから「道の神さま」「道開きの神さま」とされ、交通安全の神さまとしても崇敬されるようになりました。

サルタヒコは、もともと伊勢の五十鈴川のそばに鎮まっていた神さまです。日本書紀によると、「鼻の長さ七握、背の高さ七尺あまり、口の端は明るく光り、目は八咫鏡のように照り輝き赤いほおずきに似ている」と表現されています。長い鼻に大きな体、真っ赤な顔・・・。そう、天狗を思い起こさせる姿形です。
もともと天狗とサルタヒコは別のものでしたが、両者が結びついて現在の天狗の形相ができたといわれています。神幸祭の行列で天狗(=サルタヒコ)が先導しているのも、天孫降臨に由来するとされています。


猿田彦大神を祀る神社の総本社・椿大神社は、伊勢国の一宮でもあります。

サルタヒコを祀る神社として知られるのは、三重県鈴鹿市の椿大神社(つばきおおかみやしろ)と三重県・伊勢市の猿田彦神社(さるたひこじんじゃ)ですが、この神さまを祀る神社は全国におよそ2000社もあるとされています。
神社名は「猿田彦神社」や「白髭神社」であることが多いですが、そのほかの名前の神社でも御祭神を調べるとサルタヒコの御神名が記されていることがありますので、お近くの神社にも「道の神さま」が鎮まっているかもしれません。


「道中安全」が「交通安全」に。街道沿いの神社にも注目


「交通安全」という言葉がなかったその昔、旅人たちは出発前や道すがらに、神社などに道中安全を願っていました。旅人たちを守ってきた神社は、時を経て交通安全祈願でも人気の神社になっています。

たとえば、広島県廿日市市の速谷神社(はやたにじんじゃ)。御祭神の飽速玉男命(あきはやたまおのみこと)は、安芸国の国土開拓、交通の便を開き、安芸国の礎をつくった神さまです。このため山陽道守護の神さまとされ、「車を買ったら速谷さん」といわれるほど、遠方からもドライバーが祈願に訪れています。
また、日本最古の官道(国道)といわれる竹内街道を始めとした街道の要衝にある奈良県葛城市の長尾神社(ながおじんじゃ)も、道行く人を守護してきたため「交通の神さま」として知られています。
ほかにも、北陸道総鎮守の氣比神宮(けひじんぐう)、神奈川県箱根町の関所のそばにある箱根神社(はこねじんじゃ)など、街道沿いには交通安全祈願で崇敬を集めてきた神社が点在しています。

ここにあげた神社以外でも、旅人たちが道中安全を願ってきた街道沿いの神社は、交通安全にもご加護がいただけるはず。その街道が、通勤・通学で通る道ならなおのこと、参拝して安全を祈願したいところです。


交通安全祈願発祥の地とされる東京・国立市の谷保天満宮(やぼてんまんぐう)は、江戸五街道のひとつ甲州街道沿い。