毎年、節分になると各地の神社やお寺で節分祭がおこなわれます。「福は〜内、鬼は〜外」の掛け声とともに、有名人が豆をまく姿はニュースでも取り上げられる風物詩となっています。
では、節分が神社やお寺でおこなわれるようになったのはナゼなのでしょうか?
「節分発祥の社」といわれる京都の吉田神社(よしだじんじゃ)の権禰宜・箕西さんにお話をうかがってみました。
「社寺に節分祭が広まったのは、室町時代に当社で節分祭がおこなわれるようになったのがきっかけです。資料には節分祭で『豆を打つ』という神事も記されています」と教えていただきました。
「豆を打つ」の「打つ」とは「ばらまく・まきちらす」という意味だと考えられています。節分は新春におこなわれることから節分で豆をまくのは、「豆を植える」という説もあるそう。
吉田神社から始まった、いまの節分祭の原型となる神事が社寺へと広まり、さらに民衆へと広まっていったのです。
節分といえば「鬼」の存在が欠かせません。しかし宮中の追儺式では人が鬼の仮面をかぶったり仮装をしたりすることはなかったそうです。
「鬼が節分の神事や行事に登場するのは、実は戦後から。本来の追儺式は方相氏が目に見えない災厄を追いやるために四方を祓うというもの。しかし、一般の人にはわかりづらいということで『鬼』が登場するようになったのです」(箕西さん)。
戦前までは鬼が追儺式にはいなかったとは驚きです。
吉田神社の追儺式では、怒りを表現した赤鬼、悲しみを表現した青鬼、苦しみを表現した黄鬼が登場します。鬼たちの迫真の演技は、泣き出す子供もいるほど。方相氏により鬼が祓われると境内には厳かな雰囲気が戻ってきます。確かに目に見える鬼が祓われていくことで、清浄な気持ちになるもの。鬼が登場するようになったのは必然だったのかもしれません。
厄年になると節分祭に社寺に行き、厄祓いをするという人も多いかと思います。なぜ、節分祭に厄祓いをするのでしょうか?
「本来節分とは、各季節の始まりの日である立春・立夏・立秋・立冬の前日を示す雑節のひとつです。なかでも旧暦では立春(2月4日ごろ)は1年の始まりとされていたため立春の前日の節分の行事が重要視されるようになりました。新春を迎える神事=節分祭ということなのです。
節分に厄祓いをするのは、新年に厄がないようお祈りする新春の祈願のなごりであることと、節分祭が鬼に象徴される災いを祓う意味があることから、節分祭に厄除け祈願をおこなうようになったと思われます」(箕西さん)。
また、節分の日に伝わる参拝方法も教えていただきました。それは、紙に姓名と年齢を書き、福豆と賽銭を包んでお詣りするというもの。
厄を祓い、清々しい気持ちでこれからの1年を過ごすために、ぜひお試しください。