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特集 vol.276
御利益のある神社はどこ?
交通安全祈願〜四国編
住まいや生活スタイルが変わることも多い新年度。これからの生活の無事と幸せを願って、交通安全祈願へでかけてみませんか。今回は四国にある神社をご紹介します。

【香川・高松市/田村神社】
禍神も恐れて避ける、道の守護神を祀る


事故がおこりがちなのは、ふと気がゆるんだとき。そんなときはもしかすると、禍神が近寄ってきているのかもしれません。高松市をと走る“ことでん”(高松琴平電気鉄道)一宮駅から10分のところにある田村神社(たむらじんじゃ)は、禍神も恐れて避けるといわれる田村大神を祀っています。
田村大神とは5柱の神さまの総称で、そのうちの1柱は「天孫降臨」の日本神話に登場する猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)です。高天原から地上へと向かわれた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を、道が多方面にわかれている「天の八衢(あまのやちまた)」で出迎えた国津神(地に現れた神)で、道案内と道途の安全を守護したと伝えられています。そんな猿田彦大神の御功績から、田村神社は交通安全の御利益を求める人々に高い人気を誇っています。


地元の人々からは「一宮さん」の愛称で親しまれている田村神社。大迫力の鳥居は、高さ約17mもあります。

交通安全祈願は、毎日午前9時から午後5時まで、年中無休・予約不要で御祈祷を受けることができます。交通安全祈願では、自動車のお祓いに限らず、飛行機などさまざまな交通手段での移動時の安全も祈祷していただけます。自家用車を運転しない人でも、出張の多い人や旅行を控えた人にもおすすめです。
5柱の神さまの御神徳をいただけるとあって、お守りの種類も豊富。交通安全の御利益をいただけるお守りも、ドライバー向けのものから、子どもやペットの安全を祈願するものまで、家族みんなが安全に過ごせる御加護をいただけそうです。


ステンドグラスのように光を透かしてキラキラと輝く吸盤付きのお守りは、ドライバーに人気。ランドセル型の「こどもおまもり」は、学業成就とともに登下校の交通安全の御利益も。交通安全と健康を願ってペットとお揃いで持つお守りも!

田村神社は、創建は和銅2年(709年)と伝わる讃岐国の一宮。龍神伝説のある神社でもあり、「御神体の淵には龍が住んでいて、のぞくと祟りにあう」という言い伝えも残されています。龍に縁の深い神社だけに金運や昇運の御利益もいただけると評判です。末社の宇都伎社前には高さ約5.7mの金龍の像があります。この金龍に小判を奉納して金運の御利益を祈願する方法も人気です。


田村神社の御祭神は龍の姿で顕現なされたという伝説があり、この金龍に黄金をお供えすると長者になるといわれているそうです。

【徳島・鳴門市/大麻比古神社】
海も陸も!地域の安全を守る、道案内の神さま


うずしおで知られる鳴門海峡。その西側にある鳴門市には、阿波国の一宮・大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ)が鎮座しています。安産祈願のかわいいお守りで人気の神社ですが、交通安全や方除の御利益でも有名です。それもそのはず、この神社の御祭神は郷土の守り神・大麻比古大神(おおあさひこおおかみ)と、猿田彦大神。田村神社と同じく、道案内の神さまもお祀りしているのです。


地元では親しみをこめて「おおあささん」「おおあさはん」と呼ばれています。

神社の背後にそびえる大麻山は、古来より船舶航行の目印とされていました。そして、大麻山の峯(頂上)には峯大神(みねおおかみ)が鎮座し、周辺の地域と海の安全を守ってくださっていると信じられてきました。
交通安全祈願、車祓いの御祈祷を受けたい場合は、駐車場に車をとめて受付を。御祈祷は午前9時から午後4時まで30分間隔で行っています。事前予約は不要です。


拝殿でのご祈祷後、車両を一台ずつ丁寧にお祓いしてくださいます。ご祈祷を受けると、御札やお守りなど授与品もいただけます。

大麻比古神社のすぐ近くには、四国八十八ヶ所霊場第1番札所である霊山寺があります。江戸時代には四国遍路の発願と結願には、霊山寺とともにこの大麻比古神社にお参りするのが習わしだったそう。そのため現在でも、四国遍路をはじめる前に道中の安全祈願に訪れる人がたくさんいます。そんなお遍路さんにも人気なのが、小さな木製の「道中安全守」。ミニサイズで身につけやすいため、旅行者にも好評です。


長めの紐がついているので、首から下げることも可能です。

大麻比古神社は、神武天皇の時代に創建されたと伝わる古社で、境内は見どころ満載。たとえば本殿正面にある御神木のクスノキは、高さ22m、幹周り8.3mの大木で、眺めていると圧倒的なパワーと癒しの力を感じます。
幻想的なブルーの水をたたえた心願の鏡池も必見。池も、池にかかる橋も、第一次世界大戦の際に捕虜となったドイツ兵士たちが、友好の証として造ったものだそうです。当時、捕虜となったドイツ兵たちは神社近くの収容所で生活していました。収容所長は捕虜たちの自主活動を奨励し、人道的で友好的な処遇を行なったため、大麻比古神社はドイツ兵たちの散策の場にもなっていたといいます。その後、ドイツ兵たちは無事に故国へ帰ることができたことから、いつしか心願成就のパワーを持つスポットとして人気に。多くの人々が訪れるようになりました。


美しく澄んだ水の色が神秘的な、心願の鏡池とメガネ橋。近年は恋が叶うパワースポットともいわれています。

【愛媛・今治市/大山祇神社】
サイクリング&ツーリングのお供に、ヘルメット守


自転車やバイクを愛する人たちの間で話題になっているのが、愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ、しまなみ海道の中心、大三島に鎮座する大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)のヘルメット守です。これは、ヘルメットの内側に貼って身につけるお守り。大山祇神社の神さまが海や山の守護神であることから、海と山で働く人がふだん使っているヘルメットにつけられるようにと、このお守りが誕生しました。
ヘルメットは頭を守るための防具ですが、かつての戦場で武将がかぶっていた兜(かぶと)も頭を守るためのもの。兜のてっぺんは「八幡座(はちまんざ)」「神宿り(かんやどり)」と呼ばれ、神聖な空間とされていました。ヘルメットにはこの神聖な空間がありませんので、貼るタイプのヘルメット守をお祀りするというわけです。


左の白いお守りが小さくて細長いヘルメット守。仕事で毎日ヘルメットを使う人だけでなく、自転車やバイクの愛好家にも人気です。右のような交通安全のためのお守りもあります。こちらは持ち歩きやすいストラップ式です。

大山祇神社は、全国に一万社以上もある山祇神社と三島神社の総本社。神武天皇の東征に先駆けて四国に渡った小千命(おちのみこと)が祖神の大山積神(おおやまづみのかみ)を勧請鎮祭したと伝えられている、県内最古の神社です。
大三島は古くは「御島」と記され、神の島とされていました。クスノキの巨樹がたくさんあることでも知られており、「大山祇神社のクスノキ群」は国の天然記念物にも指定されています。


室町初期に再建された拝殿。本殿とともに国指定重要文化財に指定されています。長い歴史を持つ神社ならではの、静謐な雰囲気も魅力です。

大山祇神社の御祭神である大山積神は、山の神々の親神さまです。それと同時に、海の神さまでもあり、武神でもあります。数多くの武将たちが武運長久を祈り、戦勝の祈願やお礼に参拝しました。その際に、奉納された甲冑などもたくさん保管されています。
境内の宝物館は、日本一の武具館として有名です。全国の国宝・重要文化財の指定を受けた武具甲冑類の約8割が保存展示されているとも。日本最古の大鎧や、源義経、源頼朝の鎧なども展示されています。


紫陽殿、国宝館、大三島海事博物館の3館からなり、たくさんの国宝が展示されている宝物館。拝観は有料ですが、ぜひお見逃しなく!貴重な甲冑がずらりと並ぶさまは圧巻です。