1. 【香川・高松市/田村神社】
禍神も恐れて避ける、道の守護神を祀る
2. 【徳島・鳴門市/大麻比古神社】
海も陸も!地域の安全を守る、道案内の神さま
3. 【愛媛・今治市/大山祇神社】
サイクリング&ツーリングのお供に、ヘルメット守
4. どこいく?四国の交通安全祈願
事故がおこりがちなのは、ふと気がゆるんだとき。そんなときはもしかすると、禍神が近寄ってきているのかもしれません。高松市をと走る“ことでん”(高松琴平電気鉄道)一宮駅から10分のところにある田村神社(たむらじんじゃ)は、禍神も恐れて避けるといわれる田村大神を祀っています。
田村大神とは5柱の神さまの総称で、そのうちの1柱は「天孫降臨」の日本神話に登場する猿田彦大神(さるたひこのおおかみ)です。高天原から地上へと向かわれた瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を、道が多方面にわかれている「天の八衢(あまのやちまた)」で出迎えた国津神(地に現れた神)で、道案内と道途の安全を守護したと伝えられています。そんな猿田彦大神の御功績から、田村神社は交通安全の御利益を求める人々に高い人気を誇っています。
交通安全祈願は、毎日午前9時から午後5時まで、年中無休・予約不要で御祈祷を受けることができます。交通安全祈願では、自動車のお祓いに限らず、飛行機などさまざまな交通手段での移動時の安全も祈祷していただけます。自家用車を運転しない人でも、出張の多い人や旅行を控えた人にもおすすめです。
5柱の神さまの御神徳をいただけるとあって、お守りの種類も豊富。交通安全の御利益をいただけるお守りも、ドライバー向けのものから、子どもやペットの安全を祈願するものまで、家族みんなが安全に過ごせる御加護をいただけそうです。
田村神社は、創建は和銅2年(709年)と伝わる讃岐国の一宮。龍神伝説のある神社でもあり、「御神体の淵には龍が住んでいて、のぞくと祟りにあう」という言い伝えも残されています。龍に縁の深い神社だけに金運や昇運の御利益もいただけると評判です。末社の宇都伎社前には高さ約5.7mの金龍の像があります。この金龍に小判を奉納して金運の御利益を祈願する方法も人気です。
うずしおで知られる鳴門海峡。その西側にある鳴門市には、阿波国の一宮・大麻比古神社(おおあさひこじんじゃ)が鎮座しています。安産祈願のかわいいお守りで人気の神社ですが、交通安全や方除の御利益でも有名です。それもそのはず、この神社の御祭神は郷土の守り神・大麻比古大神(おおあさひこおおかみ)と、猿田彦大神。田村神社と同じく、道案内の神さまもお祀りしているのです。
神社の背後にそびえる大麻山は、古来より船舶航行の目印とされていました。そして、大麻山の峯(頂上)には峯大神(みねおおかみ)が鎮座し、周辺の地域と海の安全を守ってくださっていると信じられてきました。
交通安全祈願、車祓いの御祈祷を受けたい場合は、駐車場に車をとめて受付を。御祈祷は午前9時から午後4時まで30分間隔で行っています。事前予約は不要です。
大麻比古神社のすぐ近くには、四国八十八ヶ所霊場第1番札所である霊山寺があります。江戸時代には四国遍路の発願と結願には、霊山寺とともにこの大麻比古神社にお参りするのが習わしだったそう。そのため現在でも、四国遍路をはじめる前に道中の安全祈願に訪れる人がたくさんいます。そんなお遍路さんにも人気なのが、小さな木製の「道中安全守」。ミニサイズで身につけやすいため、旅行者にも好評です。
大麻比古神社は、神武天皇の時代に創建されたと伝わる古社で、境内は見どころ満載。たとえば本殿正面にある御神木のクスノキは、高さ22m、幹周り8.3mの大木で、眺めていると圧倒的なパワーと癒しの力を感じます。
幻想的なブルーの水をたたえた心願の鏡池も必見。池も、池にかかる橋も、第一次世界大戦の際に捕虜となったドイツ兵士たちが、友好の証として造ったものだそうです。当時、捕虜となったドイツ兵たちは神社近くの収容所で生活していました。収容所長は捕虜たちの自主活動を奨励し、人道的で友好的な処遇を行なったため、大麻比古神社はドイツ兵たちの散策の場にもなっていたといいます。その後、ドイツ兵たちは無事に故国へ帰ることができたことから、いつしか心願成就のパワーを持つスポットとして人気に。多くの人々が訪れるようになりました。
自転車やバイクを愛する人たちの間で話題になっているのが、愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ、しまなみ海道の中心、大三島に鎮座する大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)のヘルメット守です。これは、ヘルメットの内側に貼って身につけるお守り。大山祇神社の神さまが海や山の守護神であることから、海と山で働く人がふだん使っているヘルメットにつけられるようにと、このお守りが誕生しました。
ヘルメットは頭を守るための防具ですが、かつての戦場で武将がかぶっていた兜(かぶと)も頭を守るためのもの。兜のてっぺんは「八幡座(はちまんざ)」「神宿り(かんやどり)」と呼ばれ、神聖な空間とされていました。ヘルメットにはこの神聖な空間がありませんので、貼るタイプのヘルメット守をお祀りするというわけです。
大山祇神社は、全国に一万社以上もある山祇神社と三島神社の総本社。神武天皇の東征に先駆けて四国に渡った小千命(おちのみこと)が祖神の大山積神(おおやまづみのかみ)を勧請鎮祭したと伝えられている、県内最古の神社です。
大三島は古くは「御島」と記され、神の島とされていました。クスノキの巨樹がたくさんあることでも知られており、「大山祇神社のクスノキ群」は国の天然記念物にも指定されています。
大山祇神社の御祭神である大山積神は、山の神々の親神さまです。それと同時に、海の神さまでもあり、武神でもあります。数多くの武将たちが武運長久を祈り、戦勝の祈願やお礼に参拝しました。その際に、奉納された甲冑などもたくさん保管されています。
境内の宝物館は、日本一の武具館として有名です。全国の国宝・重要文化財の指定を受けた武具甲冑類の約8割が保存展示されているとも。日本最古の大鎧や、源義経、源頼朝の鎧なども展示されています。