1. 【岐阜・恵那市/天神神社】
若き日の明智光秀が学問に励んだ天神神社
2. 【福井・越前市/岡太神社・大瀧神社】
帰蝶に贈った髪結紙の産地には、“紙の神さま”が!
3. 【京都・京都市右京区/愛宕神社】
本能寺の変を決意させた!?愛宕神社のおみくじ
4. まだある! 明智光秀ゆかりの神社
主人公・明智光秀の青年期からスタートした『麒麟がくる』。長谷川博己さんが演じる、まっすぐで物怖じしない光秀だけでなく、周囲の人たちもとても魅力的です。なかでも、随所で女軍師的な活躍をする帰蝶は人気が高く、川口春奈さんの登場を心待ちにしているファンも多いのではないでしょうか。
天下統一目前の織田信長を討ち、歴史に名を残した明智光秀ですが、その人生は多くのナゾに包まれています。特に前半生は史料も乏しく、生まれた年も場所も確かではありませんが、土岐氏の支流である明智氏の子孫で美濃出身という説が一般的です。諸説ある生誕地のうち、有力候補として知られているのは岐阜県の可児市です。しかし同じ岐阜県の恵那市にも、産湯の井戸や手植えの楓、母・お牧の方の墓所など、光秀ゆかりの地とされる場所がいくつもあります。
万ヶ洞にある天神神社(てんじんじんじゃ)もそのひとつです。若き日の光秀が、京都嵯峨天竜寺の学僧雲水・勝恵を招いて、ここで学問に精進したというエピソードが残されています。現代では神社に僧というと妙に聞こえますが、この時代は神仏習合の時代でした。天神神社は、生誕地候補のひとつと伝わる平山城「白鷹城(明知城)」の城跡にひっそりと鎮座。御祭神は学問の神さまである菅原道真公で、京都北野天満宮からの分祀と伝えられています。
知性派の武将といわれる光秀。おそらく幼い頃から好奇心が旺盛だったのではないでしょうか。熱心に学んでいた姿が目に浮かぶようです。
美濃で生まれ育ったとされる光秀。守護・土岐氏に代わって美濃を治めていた斎藤道三に仕えていたというのが通説です。
ドラマで齋藤道三を演じた本木雅弘さんのすごみのある演技や、壮絶な最期を迎えた「長良川の戦い」のシーンは大きな話題となりました。光秀はこの「長良川の戦い」で敗戦した道三側についていたため、美濃を追われて越前の朝倉義景を頼ったのだろうと伝えられています。
越前で過ごしていた当時の光秀についても、確かなことはわかっていません。鉄砲のプロとして朝倉義景に仕えていたとも、博識な光秀らしく寺子屋のようなことをしていたともいわれています。さらに2014年に発見された史料『針薬方』から、光秀が当時の最先端ともいえる医学的知識をもっていたことがわかり、「医者として生計を立てていたかもしれない」という新説も出ているのだとか。
越前で暮らしていた光秀が織田信長に仕える際の土産として、信長の妻・帰蝶へ贈ったと伝えられているのが、大滝の髪結紙です。
数ある和紙の産地のなかでも、長い歴史と高い品質を誇る越前和紙。大滝地区は現在まで続く高級手すき和紙の産地で、越前和紙の発祥にまつわる伝説も残っています。
およそ1500年前、当時貧しかったこの村里を流れる岡太川に美しい姫があらわれ、紙すきの技術を伝えたといいます。この美しい姫が「紙の神さま」川上御前(かわかみごぜん)です。日本で唯一、この川上御前を祀っているのが、岡太神社(おかもとじんじゃ)です。神体山の権現山の山頂にある奥の院は大瀧神社(おおたきじんじゃ)の本殿と並び建っており、山麓の里宮は岡太神社・大瀧神社の共有となっているため、2つの社名が併記されます。
遅咲きながら、信長のもとで超ハイスピード出世を遂げた光秀。信長の信頼もあつく、瞬く間に城持ち大名となり、善政で領民からも慕われていたともいわれています。そんな光秀がなぜ主君を討つ決意をしたのでしょうか。そのナゾは今も歴史ファンの心をとらえて離さないミステリーのひとつとなっています。いずれにしても、本能寺の変を起こしたのは光秀にとって一大決心だったに違いありません。その緊張感を伝えるエピソードがあるのが、愛宕神社(あたごじんじゃ)です。
光秀は本能寺の変を起こす直前に、愛宕神社を訪れたと伝えられています。愛宕神社は、京都最高峰の霊山・愛宕山の山頂に鎮座している神社です。愛宕山は古くから神仏習合の山岳修行霊場として名高く、かつては寺もあってその本殿には勝軍地蔵が祀られていました。それだけに信仰していた武将たちも多かったといいます。光秀もそんな武将のひとりでした。
『信長公記』には、本能寺の変直前に愛宕山へ参拝した光秀が、愛宕神社でおみくじを二度三度と繰り返しひいた、という記録があります。「凶が出続けたから引き直したのでは」「いや大吉が出るまで引き続けたのでは」など諸説ありますが、おみくじの結果について確かなことはわかっていません。おみくじの結果も引きなおした心理もナゾですが、大勝負を前になんとしても成功させたいという気迫と緊張がひしひしと伝わってくるようです。
勇ましい武将が神頼みをしたりおみくじをひいたりするなんて、なんだかミスマッチにも感じますが、おみくじは古くから日本で親しまれていたこともあり、古くから戦の行方を占う武将も多かったのも事実。
これまでの大河ドラマでも、光秀が繰り返しおみくじを引くエピソードは描かれてきました。光秀が主役の『麒麟がくる』では、どのように描かれるのでしょうか。楽しみですね。