これだけは知っておきたい神社のこと・神社の情報・検索サイト 神社.com


特集 vol.261
世界遺産特集I
上賀茂神社で、ゆるり古の京都へ
平成6年(1994)に「古都京都の文化財」のひとつとして、23万坪の境内全域が世界文化遺産に認定された上賀茂神社。京都屈指の古社のご利益や見どころをご案内します。

方位除けに勝運、電気関連のご利益も


「上賀茂さん」の呼び名で親しまれる上賀茂神社(かみがもじんじゃ)は、京都最古の歴史を誇る神社です。上賀茂神社が建つのは、のどかさと京都らしさがほどよく混在したエリア。上賀茂社家町として重要伝統的建造物群保存地区にも指定されている街をおさんぽしたり、賀茂川でのんびりしたりと周囲の散策も魅力的な神社です。


賀茂川の上流にあるから上賀茂神社、下流にあるから下賀茂神社という通り名がついたそう。

上賀茂神社は通称で、賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)が正式名。このちょっぴり難しい名前は、御祭神が賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)であることから名付けられたもの。社伝では、賀茂別雷大神が2600年以上前に神社から北北西に約2km離れた神山に降臨されたのが起源とされています。その後678年に現在地に社殿が造営され、上賀茂神社の長い歴史がスタートしました。

賀茂別雷大神は、雷神さまではなく、雷除けで信仰を集めた神さまです。雷の語源は「神鳴り」なので、神さまがもたらすおそろしい天災だったと考えられていたのでしょう。賀茂別雷大神は、そんなおそろしい災いを退けるほど強い力を持つことから、厄除け、方位除け、勝運の御神徳があるとされています。さらに、近年では電気を司る神さまとして電力、鉄道、IT関連企業などの崇敬を受けているそうです。


思わずのんびりしたくなる!
明るくて気持ちのいい境内


一の鳥居の前で感じられるのは、思いがけないほどの開放感!
大きな赤い鳥居の先には、広々とした芝生があり二の鳥居までも一望。立派なご神木の並木や鎮守の森がある神社はたくさんありますが、こんなにも空が広く感じられる明るい雰囲気の神社はそうないのではないでしょうか?気分も上向きになり、参道を歩く背筋がいつもよりぴんっと伸びるようです。


一の鳥居の先は空も広々。気持ちのいい空間が広がっています。

参道右手には、サクラの銘木御所桜と斎王桜が、その先には神馬舎があります。日曜祝日には白い神馬・神山号が出社し、ニンジンを上げることもできます。二の鳥居の先からは、重要文化財のオンパレードです。上賀茂神社内の重要文化財の数は41棟。カーブを描く桧皮葺屋根の社殿群は、優雅で見応え十分なので、じっくり堪能しましょう。
まず見えてくるのが、天皇や斎王が参拝のときに装束を整える場、細殿。手前にある、円錐状に盛られた砂の小山「立砂(たてずな)」は、御祭神が降臨した神山をかたどったもので神さまを招く依代の役割を果たしています。


立砂も神秘的な細殿。鬼門に撒く清めの砂の起源とされています。

頂上の松葉にご注目。神さまが降臨される際の目印のために立てられているそう。

神域のさらに奥へ。
本殿前に立てる特別参拝がおすすめ


さらに先へ進むと、目にも鮮やかな朱色の楼門と御物忌川(おものいがわ)に架かる玉橋(たまばし)が。これまでの社殿とは異なり雅やかな趣にテンションがあがります。


楼門と玉橋ももちろん重要文化財。

特別祈願は国宝の本殿、権殿(ごんでん)を神職の方に案内していただけるというもの。中門から参拝することもできますが、時間がある方、はじめての方はぜひ特別参拝に参加しましょう。神域である内庭に入り本殿を間近で参拝し、さらに神宝まで拝見できます。写真撮影禁止のエリアでもあるので、こちらでその様子を紹介することはできませんが、ぜひその目で確かめてみてください。

参拝後は、さまざまなご利益がある摂社・末社も巡ってみましょう。女性におすすめは、楼門近くの片山御子神社。御祭神の母神である玉依姫(たまよりひめ)を祀り、縁結び、子授け、安産のご利益があるとされ、紫式部が通ったことでも有名です。ほかにも若返りの神さまを祀る若宮神社や長寿と芸能上達の神さまを祀る大田神社など、24社もの社が点在しています。

最後は境内を流れるならの小川沿いを歩いて一の鳥居へ向かいましょう。清涼なせせらぎは、夏場は地元の子どもたちの遊び場にもなっていて、京都最古の社の懐の深さを感じさせてくれます。


小川のまわりは木々が多く、涼むのにぴったり!