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特集 vol.250
早春の蔵の町さんぽ
茨城・真壁のひなまつりと
五所駒瀧神社
地元の人々の温かい心を感じられる、ご当地ひなまつり。今回は地元の氏神さまも参加する一大イベント「真壁のひなまつり」の魅力に迫ります。

風情あふれる町並みを彩る
たくさんのひな人形


茨城県・筑波山の麓にある真壁は、城下町として発展してきました。今も江戸時代の町割が残り、道幅は当時からほぼ変わっていません。市街地には300あまりの蔵や門などの歴史的建造物も現存。重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている、趣のある町です。


江戸時代の面影を残す、風情ある真壁の町並み。

そんな真壁のひなまつりは、「訪れてくれた人をもてなししたい」という地元の人々の思いから生まれました。お店や旅館だけでなく個人宅までも含め、町中がひな飾りで華やかに彩られます。1年目は約40カ所の展示からスタートしましたが、今では約160カ所と大規模に。歴史情緒あふれる町を散策しながらたくさんのひな飾りを楽しめる、見応えたっぷりのイベントへと成長しました。展示会場では、飾れているひな人形にまつわる話を聞かせてくれたり、お茶や甘酒をふるまってくれたりと、地域の人が心尽くしの「おもてなし」で迎えてくれ、心温まる交流が生まれているのも、このイベントの醍醐味のひとつです。
飾られているひな人形は、代々受け継がれてきた由緒あるものから手作りのものまで、実にさまざま。石材の産地として知られる真壁ならではの「石で作られたひな人形」など、変わり種にも注目です。2020年は、2月4日〜3月3日開催。「真壁のひなまつり」を堪能するなら、まずは真壁伝承館へ訪れましょう。ひな飾り展示会場のマップを配布しています。


町のほぼ中心に位置する潮田家住宅には、さまざまな年代のひな人形がずらり。

真壁名物「うまかべすいとん」は散策中の小腹を満たすのにぴったり!

地域の氏神さま、五所駒瀧神社も必見!


町をあげての大イベント真壁のひなまつりには、「こまがたきさま」の愛称で地元の人々に親しまれている五所駒瀧神社(ごしょこまがたきじんじゃ)も参加。会場の中心部から歩くと少し距離があるものの、隠れ家的な雰囲気でゆっくりと見学できると人気です。数々のひな人形が、境内のさまざまな場所に工夫を凝らして飾られています。飾り方は毎年変えているそうで、意外な場所に飾られているものもあり、宝探しのようなワクワク感も味わえると評判です。


毎年飾り方が変わる、五所駒瀧神社のひな人形は必見!(座敷には上がれません)

五所駒瀧神社の創建は1014年。権現山(真壁富士)の山懐に一条の滝があり、村人が五穀豊穣を祈って祠を建て、明神さまと呼んでいたのが起こりで、後に真壁城の初代城主の一族が社殿を造営し、鹿島神宮の御祭神・武甕槌大神(たけみかつちのかみ)の分霊をまつったことから、氏神さまとして崇められるようになったと伝えられています。武甕槌大神のほかに御祭神としてまつられているのは、大山咋神(おおやまくひのかみ)、猿田彦神(さるたひこのかみ)、木花開耶姫神(このはなさくやひめのかみ)、菅原道真公(すがわらみちざねこう)です。祭事は江戸時代から続く古式に則って運営され、「国選択無形民俗文化財」に指定されています。


本殿は江戸中期の特色をよく示す、豪華な建造物。紅葉シーズンの参拝もおすすめです。

フィナーレは「和の風流し雛」


真壁のひなまつりを締めくくるのは、街中を流れる山口川で開催されている「和の風流し雛」。町全体で子どもたちの成長を祈るイベントです。色とりどりの折りびなを舟に乗せて川に流します。一時期は地域の小学生が行っていましたが、現在では誰もが参加できるイベントに。開催されるのは毎年3月3日に近い日曜日です。当日の集合場所は、真壁伝承館の北隣にある神武天皇遥拝殿。10時30分から五所駒瀧神社の神職さんによるお祓いがおこなわれ、その後、神職さんを先頭に列をなして山口川へ。流し雛がスタートするのは、例年11時頃からです。一般の観光客も、当日10時に真壁伝承館を訪れれば、ひな舟作りから参加し、川に流すことができます。(当日の天候等により、時間や一定の変更、中止になる場合あり。)


願いを込めて作った、個性豊かなひな舟を山口川へ。古来の風習にふれるチャンスです。

期間中は神武天皇遥拝殿にもひな人形が飾られています。