1.【石川・珠洲市/須須神社】
朝焼けの海に向かう巨大燈籠が幻想的「寺家キリコ祭」9月第2土曜
2.【千葉・いすみ市/鹿島神社】
男気も熱気もムンムン!「大原はだか祭り」9月23日・24日
3.【愛媛・今治市/大山祇神社】
精霊との三番勝負!「抜穂祭の一人角力」10月(旧暦9月9日)
「キリコ」とは、能登半島に伝わる巨大な灯籠のこと。7月から10月にかけて、能登半島各地で、200以上ものキリコが巡行する祭がおこなわれ、半島を照らし出しています。これほどまでに灯籠神事が集結しておこなわれている地域はほかになく、文化庁が選定した日本遺産にも選定されています。
今回ご紹介するのは、数あるキリコ祭のなかでも巨大なキリコが競演することで知られる「寺家キリコ祭」。珠洲市三崎町寺家地区にある古社、須須神社(すずじんじゃ)の秋祭りです。須須神社は延喜式にも記載がある由緒ある神社。国重要文化財「木造男神像」や源義経の「蝉折れの笛」なと゛、貴重な文化財を所蔵しています。社伝によると250年ほど前から神輿とともにキリコが出ていたとのこと。段々と大型化し、現在最大のキリコは高さ16.5m、重さ4t、屋根の大きさだけで畳12枚分もあります。大きいだけでなく、金箔貼りの精緻な龍の彫刻や輪島塗りの仕上げなど、豪華さも群を抜いています。民家の2階の屋根のはるか上までそびえる豪華絢爛なキリコが、ゆっくりと進む様子には誰もが圧倒されることでしょう。
当日は21時から神事。その後、神輿の前後にキリコがついて巡行がはじまります。キリコは、担いで巡行するものが多いのですが、寺家のキリコは巨大なため山車方式でタイヤがついています。神輿とともにゆっくり進み、神輿が家を巡るあいだは太鼓や鉦などを鳴らしながら待ち、ホラ貝が吹かれると再び動き出す。ゆったりとした巡行が悠久の時間を感じさせてくれます。
朝になると、朝日を浴びる海岸にキリコが整列。夜明けの浜で提灯を灯したキリコが朝焼けに染まっていく姿は必見です。朝日が上ると、神輿とキリコは神社に戻り「樋渡の神事」ののち、キリコが激しく練りまわりながら宮入し祭りは幕を閉じます。
祭りの時間は夜9時から朝10時ごろまでと長いので、朝方から宮入までを見るのがおすすめです。
大原はだか祭りは江戸時代からはじまった祭りです。「何を質に入れても祭りのしたくを整える」といわれたほど年に一度の最大の楽しみとして受け継がれてきました。
十数基の神輿が一斉に海へとかつぎこまれ、もみあう「汐ふみ」が祭りの最大の見どころですが、街中を練り歩く様子も迫力満点!
神輿を腰のあたりで持つためか、練り歩きは競争のようなスピード感があり「観客の方は神輿の進行に注意してください」と放送が流れるほど。
「汐ふみ」は23日の10時から。五穀豊穣、大漁祈を願い神輿が一斉に海へと駆け込んだあと、大原小学校校庭での「大別れ」へ。その後、22時までは大原中央商店街で自由渡御があります。自由渡御は24日も22時までおこなわれますが、両方が見られる23日がもっとも見応えがあります。
周辺には交通規制がありますが、いすみ市役所に臨時駐車場が設けられるので車でもアクセスは可能。台数に限りがあるので、朝早くに現地へ入るのがベターです。
「のこった!のこった!」と相撲を取るのは、人間の力士対稲の精霊。精霊相手の一人角力というめずらしい神事がおこなわれているのは大山祇神社(おおやまずみじんじゃ)。瀬戸内海に浮かぶ大三島にある2600年余の歴史を誇る古社です。
秋の収穫祭「抜穂祭」でおこなわれる一人角力は、翌年の五穀豊穣を願って650年ものあいだ伝えられてきました。旧暦5月5日の御田植祭で植えた稲を女子児童16人が扮する抜穂乙女が初穂を刈り取ったのちに、一人角力がはじまります。
三番勝負のうち、2勝1敗で毎年精霊が勝ち、翌年の豊作が約束されるというもの。力士さんも行司さんも、地元の有志の方が担当されています。長年タッグを組んでいるだけに、おふたりの息はぴったり!一力山の迫真の演技に、思わず見ているこちらも手に汗を握ってしまいます。
大山祇神社の御祭神は、天照大神の兄神、大山積大神。本殿と拝殿は国の重要文化財、境内には樹齢3000年と言われる日本最古の楠があります。大三島最大の観光名所でもある同社だけに、祭当日は早い時間から駐車場は満車になってしまうので、早めの到着がおすすめです。