数々の有名人が訪れる、芸能の神さまで名高い車折神社(くるまざきじんじゃ)。細い参道の両側には木々が繁り、夏の強い日差しを遮ってくれます。本殿で参拝し見上げると、そこには色鮮やかな天井画があります。朝顔や藤、牡丹などの花をはじめ、小鳥や鯉、また西瓜や蕪といった食べ物なども描かれているので、ぜひ見上げてみてください。
お参りをして、振り返ると、そこには石の山。これは、社務所で記念神石を授かって祈願した願いが叶った人たちが、拾ってきた石にお礼の言葉を書いて奉納されたものです。芸能の神さまが人気とあって、芸能関係のお礼の言葉も多々見かけます。
こちらの神社にはふたつのセルフ式のおみくじがあります。
ひとつは棒を振り出し、出た番号の紙を一枚切り離します。そこには短歌が書かれていて、その意味が横のボードに貼り出されています。わたしの結果は「七番中吉」…「大きな転機が訪れ、物事が良い方向に進み、数々の悩みから徐々に解放されていくでしょう・・・」とあり、自分の現状にぴたりと当てはまり、パァーっと運が開けたように感じました。
もうひとつは、「からくり人形みくじ」。宮司の人形がお祓いをして、くじを出してくれるのです。ポロンと出てきた巻物式のくじは「一番大吉!」「声望いよいよ高く、、、」とあり、霊験あらたかなこの神社で、ご加護をいただいている感謝の思いが湧き上がってきました。
さぁ、いよいよ人気の芸能神社へ。御祭神は、天宇受売命(あめのうずめのみこと)。芸能・芸術の祖神です。わたしはイラストのよいお仕事が出来るようにとお祈りしました。拝殿のまわりや参道には朱色の玉垣がズラリと並んでいます。そこには、芸能にたずさわる人々の名前が書かれ、誰もが知る方の名前もあちこちに!
末社もたくさんあり、あらゆる神々を祀る八百万神社、清少納言の御霊が祀られた才色兼備のご利益がある清少納言社、厄を浄化する清めの社など、すべて参拝しておきたいところです。また、辰巳稲荷神社のお稲荷さまは、とてもチャーミングなのでお見逃しなく。
9月9日には、重陽祭という重陽の節句を祝う神事が行われます。見学者には菊酒が振舞われ、これを飲むと災厄から逃れると言われています。特別に「美容と健康に効く菊お守り」も授与されます。
松尾大社(まつのおたいしゃ)は、桂川と山並みに囲まれ、山からの涼やかな空気が流れてとても心地よい神社。お酒の神さまとして有名で全国の醸造家たちが参拝に訪れます。
広々とした境内を歩くと、あちらこちらで亀さんに出会います。
「鶴は千年、亀は万年」といわれるように、亀は長寿の象徴とされ、とても縁起のよい生き物。特に「亀の井」には霊泉が湧き出ていますので、ぜひ飲んでみてください。この水をお酒に混ぜると腐敗しないといわれていて、醸造家たちが水を汲み持ち帰るという風習が残っています。
こちらには「樽うらない」といって、酒樽に矢を射って運勢を占うものがあります。授与された2本の弓矢を樽に向けて放つもので、ハズレたときの授与品が、小さな可愛い亀のお守り。それがほしいなと思い、以前、挑戦してみたところ、2本目で、「ゴォーーン!!」と大きな音が!! なんと樽のど真ん中に命中してしまったのです。「大吉」の授与品は、諸願成就の福矢のストラップ。今も大切に持ち歩いています。
さて、亀さんのあとは、天狗さまに会いに行きましょう。
亀の井の左手を奥に進むと、霊亀の滝があり、滝の左横手の岩を少し遠目から眺めていると、天狗さまが姿を現してきます。この滝はご神体となっていて、聖なる山の水が流れています。昨年の台風や大雨の災害により水脈が変わったためか、最近、山から流れる水の量は少なくなってしまったそうです。
境内の中、ひときわ目を引くのは、全国の酒造家より奉納された酒樽。いろんな銘柄が全部で100個ギッシリ並んでいます。
よく知る銘柄を見つけると嬉しいですが、飲んでみたい銘柄を見つけるのも楽しいですね。また、お酒の資料館があり、酒造りに使った道具やお酒のラベルなどが展示されています。資料館の前には大きな樽の中に入ってのフォトスポットがあり、なかなかユニークな写真になるのでおすすめですよ!
毎年9月の第一日曜日には「八朔祭」という夏祭りが開催されます。明治18年(1885年)から続く京都の夏の最後を飾るお祭りなので、ぜひ足を運んでみたいですね。
平安時代の天文学者 安倍晴明公を祭る晴明神社(せいめいじんじゃ)。平成15年(2003 年)に野村萬斎主演映画『陰陽師』がヒットして以来、大人気となり、参拝客が後を絶ちません。フィギュアスケートで羽生結弦選手が、安倍晴明を演じたこともあり、多くの羽生ファンも足を運んでいるようです。
鳥居をくぐると、すぐ左手に橋の欄干があり、横には魔女のような石像が鎮座しています。橋は、一条戻り橋といい、大正11 年(1922年)から平成7年(1995年)まで、実際に使用されていたものです。この橋には数々の伝説が残り、あの世とこの世を繋ぐ橋とも言われ、安倍晴明はこの橋の下に家来である式神(しきがみ)を住まわせ、式神を使って橋占(はしうら)を行っていたという言い伝えが残っています。
晴明神社の神紋は、星形の五芒星で「晴明桔梗印」と呼ばれています。境内のあちらこちらに見られ、星の形をしていることから、スターになりたい方や芸能人も参拝に来られるとか。実際のご利益は、「魔除け」「厄除け」。日々の生活の中、抱え込んでしまう「魔」や「厄」を取り除いてくれます。
桔梗にゆかりがある神社とあって、夏には紫色、白色の桔梗が境内を彩ってくれます。桔梗の開花時のみに、「桔梗守」と「ききょう土鈴」が授与されていて、土鈴は涼やかな音が魔除けになり、 花言葉「永遠の愛」にちなんで、誠の心を育むお守りに。
本殿の右手には、桃の像があります。桃は古くから、魔除け、厄除けの果実であるといわれていて、この像を撫でることで、自分の厄を桃にうつすことができるといわれています。ご参拝の皆さま撫でていかれるため、桃はツルツルぴかぴかに!
本殿の左手には安倍晴明像があり、なぜかその像の足の裏もぴかぴかに! 触れて力を得たいと願う参拝客が撫でていかれるようで、わたしもやはり撫でてしまいました。
授与所に、「五行みくじ」という珍しいおみくじがあったので引いてみると、第五番末吉。陰陽五行の五色の桔梗紋型になっていて、持っていると心の安寧が得られるとのこと。まわりには、著名な方の絵馬がたくさん掛けられていて、やはり、目を引くのは羽生結弦さんの絵馬ふたつ。
また、宮司さんによる占い事相談コーナーが評判で、全国から訪れるのだとか。曜日によって占っていただける宮司さん、占い方法が異なるようですが、ここは選ばずに、偶然ご縁があった宮司さんに占っていただくのもよいかもしれませんね。
イラストレーター/小酒句未果
仏像イラストや京都を巡ってのイラストエッセイを手がける京都在住イラストレーター。これまでに描いた仏像の数は300を超え、その柔らかな表現が好評を得ている。『京都ぷらっと日記』(白川書院)、『なぞるだけで心が癒やされる 写仏入門』(宝島社)ほか著書多数。