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特集 vol.236
神さまの島へ1日トリップ
竹生島と竹生島神社
琵琶湖に浮かぶ竹生島は、西日本屈指のパワースポット。「一生に一度は行きたい」という思いを叶えてきた参拝レポートをお届けします!

まずはおさらい。竹生島ってどんな島?


パワースポット好きから「絶対行くべき」とおすすめされていたのが竹生島。琵琶湖に浮かぶ沖島につぐ大きさの島で、周囲2km、面積は0.14ku。島全体が巨大な一枚の花崗岩でできており、船着き場以外は切り立った崖。この岩の島の上に竹生島宝厳寺(ちくぶじまほうごんじ)と竹生島神社(都久夫須麻神社・ちくぶじまじんじゃ)の社寺群が建っています。
「神の棲む島」と呼ばれる島は、平家物語では、すべての願いがかなう霊場として描かれ、平清盛の甥である平経正が参詣し琵琶を奏でると神仏が白龍になってあらわれたとも記されています。この一節だけでも心が惹かれますが、琵琶湖八景のひとつに数えられるうえ、厳島神社(いつくしまじんじゃ)、江島神社(えのしまじんじゃ)と並び、日本三大弁財として弁天さまも祀られています。


一枚の花崗岩の上に建つ社寺群。琵琶湖八景のひとつに数えられ、島全体が国の名勝・史跡に指定されています。

40分の船旅で、神さまの島へ!


竹生島は、琵琶湖の北側に位置しています。上陸するには、湖の西側にある今津港(マキノ桟橋)、東側にある長浜港、彦根港の3カ所から船で向かうことになります。
今回は、彦根城からオーミマリンを使用することに。9時30分発の朝イチの船に乗るべく30分前に港に到着してみると、すでに観光バスが数台停まり出航前の賑わいを見せていました。釣り人も多いようで、駐車場は7割が埋まっている様子。早めに到着してよかった、とホッと息をつきました。
到着予定時刻は10時10分なので約40分の船旅です。島内に宿泊施設はないため、船の乗車は乗った船で帰る往復利用が基本。到着してから70分後に船が出るので、なかなか慌ただしい滞在になりそうです。


竹生島への船が発着する彦根港。駐車場は無料。彦根駅から港までの無料シャトルバスも運行されています。

定刻通りに出航! 見る間に港が遠ざかります。


拝観料は竹生島宝厳寺・竹生島神社共通で400円。

島の入口にある「祈りの石段」は島内一番の難所。この先は、大きなアップダウンはないので最初さえ気合いで登ればOKです。

祈りの石段を抜けて、島の奥へ


事前に調べてみたところ、一本道で宝厳寺と竹生島神社を巡ることができるようなので、迷う心配はなさそうです。船を下りて見上げると点々と社寺の建物が見え、荘厳な雰囲気がただよっていました。
土産店が並ぶ港を抜けると、拝観料の券売機があるので、まずはここで拝観券をいただきましょう。港周辺の狭いエリアのみが無料、その先は一方通行で有料となっているようです。
入口で券を見せると竹生島神社の鳥居があり、その先に宝厳寺本堂までの石段が続いていました。この石段は165段あり、多くの巡礼者や参拝者が祈りを捧げながら上ったことから「祈りの石段」と呼ばれているそう。段差も大きくなかなかキツイ勾配なので、途中でひと休みしながら上る人もちらほらいました。

階段を上りきると竹生島宝厳寺の本堂が目の前に見えてきます。竹生島は、神亀元年(724年)、聖武天皇が天照皇大神のお告げを受けて、弁才天像を祀ったのがはじまり。織田信長が参詣し、豊臣秀吉の遺命により豊国廟より観音堂や唐門などが移築されたこともあり、戦国時代ファンにも人気のスポットとなっています。明治元年の神仏分離令により、宝厳寺本堂のあった場所が竹生島神社となりました。


宝厳寺の本堂前には、御朱印をいただくための行列が。この列に並ぶなら、真っ先に下船しないと厳しそうです。

ここが世界の根源!? いざ、古の伝説の地へ


宝厳寺と竹生島神社をつなぐのは舟廊下。秀吉の御座船の骨組みを利用して建てられたと伝えられ国の重要文化財に指定されています。廊下に作られた窓からは琵琶湖を一望。昔のままの木造建築は古の信仰を感じさせてくれます。


桃山時代に作られた舟廊下。趣があって同行のアメリカ人も「Great!」と喜んでいました。

廊下を抜けると、いよいよ竹生島神社境内です。本殿・拝殿が山側に、小さい広場を挟んだ湖側に龍神拝所が建てられています。さわやかで明るい雰囲気と、湖面を渡る風の心地よさも相まって、一気にこの神社が好きになりました。
社殿は天智天皇が宮中の守護神として祀ったもの。もとは、宝厳寺の本堂として使用されていたもの。御祭神は、市杵島比売命(いちきしまひめのみこと・弁財天)、宇賀福神(うがふくじん)、浅井比売命(あざいひめのみこと)、龍神の四柱の神さま。パンフレットによると、市杵島比売命は、交通安全・開運厄除、弁財天は慈愛・財施・安心の御利益が信仰されているそう。
竹生島縁起によると、日本の国土が固まっていなかったとき、大己貴神と久延産命は龍神に命じて国土を五つの神杭に結んだとされ、竹生島神社はその中心、世界の根源であったと伝えられているそう。“日本が生まれた場所”に、巨大な建物があるわけでもなく琵琶湖に浮かぶ小さな島だと思うと、なんだか不思議な気持ちがしてきます。


本殿は国宝。長押上には極彩色の彫刻がほどこされています。

絶景の龍拝所で、かわらけ投げに挑戦


参拝後は、湖に向かう龍神拝所へ行ってみました。すると、何人もの人が海に向かって何かを投げています。土器(かわらけ)を湖面に突き出た鳥居に向かって投げて願掛けする「かわらけ投げ」です。2枚のかわらけの一枚に願い事を、もう一枚に名前を書いて投げるというもの。鳥居に向かって投げてみましたが、これがなかなか難しい。一枚目はすぐ近くに落ちてしまうという残念な結果に。そばにいた人から「下向きに投げると上手に飛ぶよ」とアドバイスをいただき、二枚目をその通りに投げると鳥居の足元に落とすことができました。
境内には金運向上の御利益も期待できそうな白巳大神の社や招福弁財天もあり、一心に参拝している人を見かけました。
そうしているうちに、出航時間まであと15分ほど。神社から港まで、徒歩5分ほどの距離を急いで歩き、無事に乗船することができました。わずか70分でしたが、湖の景色と信仰の島をたっぷり堪能。心が洗われる参拝となりました。


湖面に突き出た宮崎鳥居に向かって土器を投げる、かわらけ投げに挑戦。

龍拝所は、島内で一番のビュースポット!