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特集 vol.223
優雅&幻想的
一度は行ってみたい
京都・奈良の節分祭
バラエティ豊かな節分祭がおこなわれているのが京都・奈良。古の節分を体験しに、冬の古都へでかけてみませんか。

【京都・京都市東山区/八坂神社】
祇園さんで芸妓舞妓の華やかな豆撒き


京都でもっとも華やかな節分祭がおこなわれているのが「祇園さん」とも呼ばれている八坂神社(やさかじんじゃ)です。八坂神社の節分祭は2月2日・3日の2日間。京都市内の寺社では、一斉に節分祭がおこなわれるなか、一二を争う人出の多さを誇っています。なかでも人気があるのは芸妓さん、舞妓さんが参加する豆撒きです。
境内中央の舞殿でおこなわれる豆撒きは、1日に4〜5回。そのうち2回は芸妓舞妓が登場します。豆撒きの前には、舞踊も奉納され節分祭の華やかさを一層盛り上げています。芸妓さん、舞妓さんの豆をキャッチしたい、間近で見たいという人は各回終了後には場所取りをする方がよいでしょう。ただし、豆撒きの様子を見たいというだけであれば、境内が広いので少しあとから待っていても十分見ることができます。
もうひとつ人気なのが、福引き付きの福豆。こちらは授与所で受けることができます。景品は、家電や自転車、おみやげにもうれしい老舗の食材までさまざま。空くじなしでその場で抽選してもらえるので、初春の運試しを楽しめます。


舞踊奉納のあとには、お楽しみの豆撒きがスタート。芸妓舞妓の豆撒きは2月2日・3日の13時〜・15時〜の全4回。

【京都・京都市左京区/貴船神社】
恋物語から貴船で生まれた節分の風習って?


貴船神社(きふねじんじゃ)といえば、恋愛成就の神さまとして女性たちに人気の社。実はこの社、豆撒き発祥の地といわれています。
その由来となったのは、室町後期につづられた恋物語『貴船の物語』です。
鞍馬の山奥に住む鬼の大王の娘と都の中将殿が恋に落ち、波瀾万丈のすえに鬼の娘は人間に生まれ代わりますが、節分の夜に二人を憎んだ鬼たちが都に攻めてきます。そこで、鬼の目つぶしとして豆を撒き、鬼をあざむくためにイワシを焼いて家の門口に刺し鬼を撃退したことで二人はめでたく結ばれる、という物語です。恋愛成就の神さまらしい、ドラマチックでロマンチックな物語から豆撒きの風習が生まれたとは驚きです。

貴船神社の節分祭は2月3日の11時から。弦が弾かれる独特な音で邪気祓いをする鳴弦神事や豆撒きの儀など古式ゆかしい神事を見学できるほか、厄除守入り福豆も授与されます。
節分は1年のはじまりに鬼=邪気を払い一年の無病息災を願う行事。豆撒き発祥の物語に思いをはせながら、健やかな一年とともに恋の成就を願ってみてはいかがでしょうか。


厳粛な雰囲気のなかでおこなわれる鳴弦神事。
写真・今宮康博

【奈良・奈良市/春日大社】
3000基に火が灯る幽玄な世界遺産へ


一生に1度は見に行きたいのが節分当日に春日大社(かすがたいしゃ)でおこなわれる節分万灯籠。
春日大社には石燈籠約2000基、釣燈籠約1000基の合計約3000基もの燈籠が寄進されていますが、このすべてに火が入る幻想的な神事です。万燈籠は、2月の節分万燈籠と8月の中元万燈籠の年に2回。ただ、節分万燈籠は中元万燈籠よりも人出が少ないことが多く、きりりと引き締まるような寒さのなかで見る明かりは一層きれいなため、どちらかといえば節分がおすすめです。

火が灯るのは18時ごろ。3000基の燈籠に火がともるとはいえ、ひとつひとつの火はほんのり周囲を照らすのみ。入口あたりは照明があり明るいのですが、参道を進むと夜というものがこれほどまでに濃い闇であったことに驚かされます。かすかな燈籠の明かりは幻想的で、はるか昔にタイムスリップしてしまったような感覚にさえおちいります。

燈籠は、平安末期から今日までさまざまな願いを込めて寄進されたもの。ほのかな明かりを頼りに進みながら、燈籠ごとにこらされた意匠や造形に注目してみるのも節分万燈籠の楽しみのひとつです。また、「『春日大明神』と書かれている燈籠を一晩に3基見つけると長者になれる」という言い伝えもあるので探しながら歩いてみるのもよいでしょう。


朱色の社殿が浮かび上がるライトアップも幻想的。

回廊のなかには釣燈籠が。ひとつひとつ、願いが込められています。