約1800年前、大和政権が誕生した奈良・大和路。現在の桜井市にあたるこの地にそびえる談山山中に鎮座するのが、談山神社(たんざんじんじゃ)。藤原氏の祖・藤原鎌足を祀るため、大宝元年(701年)に 神殿が創建されたのがはじまりです。
神社の秋の名物といえば、十三重塔を囲む赤やオレンジの燃えるような紅葉。この十三重塔は、藤原鎌足の息子が神殿より先に創建したもので、室町時代に再建されて以来、木造の十三重塔としては世界最古といわれています。
悠久の歴史を感じさせる十三重塔と紅葉のコラボを写真におさめようと、毎年、県外からたくさんの参拝者がおとずれる談山神社。十三重塔を含む楼門、本殿、権殿のすべてが国の重要文化財で、朱塗りの社殿は、山間を見事に染める紅葉に負けずとも劣らない美しさ。漆塗極彩色、三間社春日造りの本殿は日光東照宮のモデルになったといわれ「関西の日光」とも呼ばれています。
神社や談山全体の紅葉は11月中旬から12月上旬まで。そのうち、十三重塔と紅葉のピークは通常は毎年11月20日前後に限定されるので、ネットなどで見頃情報を確認しましょう。標高差などにより十三重塔あたりの紅葉が終わるころ、周辺の山々がピークを迎えます。参拝でおとずれる拝殿周辺も紅葉の絶景スポットです。
またお出かけの際は、山間のため階段が多いので歩きやすい靴で。入山は階段数の少ない西の入山受付口からがおすすめです。正面から入ると140段を上らなくてはなりません。
2018年、11月10日〜25日の期間は19時まで(18時30分最終入山受付)紅葉のライトアップが開催されます。また、地元桜井市の「月山日本刀鍛錬道場」の特別展示会を10月14日〜12月9日まで開催。さらに普段は非公開の権殿をギャラリーとして開放し、宮司が応援している現代アートの若手作家による展覧会も行われます。
弘前公園は桜の名所として有名ですが、秋の紅葉もまた東北随一といわれています。神社周辺の紅葉もさることながら、春にピンクの花をつけた約2600本の桜の木も紅葉するほか1100本のカエデの木も黄金色に。
弘前公園の総面積は街中にもかかわらずなんと約14万9000坪。江戸時代、津軽氏が居城し藩庁が置かれた弘前城やお濠があり、城内の四の丸には、明治維新後の数々の戦争によって亡くなった、青森県出身の2万9182柱の御霊を神として祀る護国神社(ごごくじんじゃ)が鎮座します。
神社参拝のあとは、ゆっくり時間をとって公園の散歩を楽しみたいところ。どこも美しい紅葉が見られますが、隠れた人気は、蓮池濠から南口券売所へ向かう本丸南馬出し石段、通称『もみじ谷』と呼ばれている場所。地元の写真愛好家が集結する秋の撮影スポットです。
そして10月19日〜11月11日までは「弘前城 菊と紅葉まつり」が開催され、数々の催し物が開かれています。公園内にある「弘前植物園」では菊人形、菊の品評会など菊を中心としたイベントが多数。城の中濠では、春に人気の観光舟が初めて、この秋に運行されお濠に浮かぶ小舟の上から、優雅に紅葉を眺めることができます。公園が広大で歩くのが大変、という方には観光人力車、レンタル自転車もあり、さらに紅葉のライトアップも楽しめます。秋まつりの詳細は弘前観光コンベンション協会のサイトまで。
山形県のほぼ中央に位置する西山町。出羽三山をはじめこのあたりの紅葉の美しさはよく知られるところなのですが、西山町大井沢地区にある湯殿山神社(ゆどのさんじんじゃ)から山道を1.5kmほど入ったところに、隠れた紅葉の「日本一」があるのをご存知でしょうか?
それが「日本一の大栗の木」です。9月下旬ごろから、大きな栗の老木は葉を黄金色に色づかせ、たわわについた栗の実を山のように根もとへと落とす姿を見ることができます。
県の天然記念物に指定されているこの大栗の木は、樹高15m、幹回り8.5m、樹齢は推定800年。町役場の木島さんによると「平成8年、財団法人自然環境センター「全国巨樹・巨木の会」理事であり「巨樹の会」も主宰する、平岡忠夫氏を団長とする樹木医ほか6名による調査が行われ、『幹回り日本一位の栗』と判定されました」とのことなので、間違いはなさそうです。日本一の栗の木の紅葉を見るバスツアーも企画されるほどで、人けのない山中にもかかわらず駐車場も完備されています。
木島さんは「神社の参拝のあと、紅葉を楽しむトレッキングをかねて大井沢の栗の木を見に行ってみてください。モミジやカエデとはまた違った紅葉が楽しめますよ。栗の実を拾って食べると巨木のパワーがいただけるかもしれません」と語ってくれました。