猫が気持ちよさそうに喉をゴロゴロ鳴らす音は、骨折の治癒を早めたり、ストレスを軽減したりする効果があると科学的にも証明されたのだとか。確かに、なでている猫が気持ちよさそうにしていると、こちらもそんな姿に癒やされてシアワセな気持ちになってきます。そんな、癒やし効果抜群の猫を、思いっきりモフモフできる神社があるという情報をキャッチし、早速でかけてきました。
“猫神社”“にゃんこ神社”と呼ばれているのは、栃木県佐野市にある唐澤山神社(からさわやまじんじゃ)。佐野市北部にある唐沢山山頂に鎮座しています。
唐沢山は、平野から突然突き出たような高さ242mの独立峰。戦国時代には、唐沢山城や栃本城と呼ばれ、佐野市が居城。「関東一の山城」と呼ばれ数々の攻防戦をくぐり抜けてきましたが、江戸時代に入り山城禁止令が下されたため廃城。明治時代になると、唐澤山神社が創建され全山が境内地となりました。
現在の唐沢山城跡は、県立自然公園に指定。山頂の本丸跡に本殿があり、駐車場から徒歩10分ほどのプチハイキングが楽しめます。その道中で、たくさんの猫に会えることから城郭マニアだけでなく猫好きも集まるようになりました。
いったい何匹の猫たちに会えるのか、猫まみれを夢見て市街地から少し離れた山道を車で上っていくと、ほどなくして広い駐車場とレストハウスに到着。
レストハウスをちらっとのぞいてみると、なんと猫のエサが売っています。どうやら売上げが猫たちの飼育代になっている模様。猫好きウェルカムな空気が伝わってきて、期待値が上昇しました。
「唐沢山城入口」の大きな看板の横から参道に入ると、さっそく猫たちの姿が。ベンチの前の広いスペースに、4匹がのびのびとくつろいでいます。人になれているようで、寄ってきてスリスリしてくれる子もいて、最初のご挨拶ができました。
存分に猫をなでなでしたら、本殿へ向かう参道を進みます。すると、すぐに竜神宮という小さなお宮と小さな池がありました。池、と思ったのは間違いで、説明書きを見てみると井戸とのこと。築城の際に厳島大明神に祈願をして掘ったもので、今日まで水が涸れたことがないそうです。山城では水の確保が大切なことから、大きな井戸を掘ったのでしょう。その先にかかる神橋は、敵がせめてきたときには引き払えるようになっている曳橋だったとのこと。空堀も残されていて、山城の名残を感じられます。
さらに道を進むと、緑のトンネルの下を歩くゆるやかな上り坂に。右手は急な崖で、さすが「関東一の山城」。急な断崖が続き、確かに攻めづらそう。最初の4匹以来、ほかの猫にはまだ会えていませんが、城跡探索は楽しめます。
乗馬の練習をしたという急坂「桜の馬場」などを横目に進むと、社務所の横に本殿へと続く急な階段が見えてきました。
本丸跡に建つ唐澤山神社の御祭神は、約1000年前に唐沢山城を築城した藤原秀郷公(ふじわらのひでさとこう)。秀郷公は、平将門と藤原氏が天慶の乱で活躍。将門の軍を下総国幸島で攻め滅ぼしたした人物です。
拝殿で秀郷公にご挨拶したあと、ふと左手を見ると神社の主、いや城の主のように寝転ぶ猫が目に入りました。本殿をバックに、写真を撮っても、なでても悠然と寝続ける姿は主そのもの。「よきにはからえ~」とでも言っているようです。
石段を下り社務所前に戻ると車の下に2匹、その先の南城館という建物の前庭に2匹の猫たちがいました。庭からは佐野市を見渡す眺望が広がり、心地よい風も吹いてきます。心地よいのは猫も同様のようで、車の下にいた猫も前庭へ移動してきて、3匹と1人でしばしのんびり。その後、車に戻るまでの道中にさらに3匹。全部で11匹の猫たちに会うことができました。
こちらの猫たちは、神社の飼い猫と地域猫だそう。ところどころにエサやりのルールなどが書いてあるので、ルールとマナーを守って猫たちとふれあって、城跡巡りも楽しんでみましょう。