出雲大社(いづもおおやしろ)は、日本でもっとも重要な神社の一社。
御祭神の大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)は、恋愛だけでなく、人、物、出来事などあらゆる縁を司る神さまです。その霊験はあらたかで、日本全国から良縁を求める老若男女が参拝に訪れています。
神社好きなら一生に一度は参拝したいのが出雲大社。
せっかくなら、より出雲の神さまのご神威を授かれる参拝がしたいものです。
参拝のポイントを、出雲大社とその周辺でボランティアガイドの活動をする「出雲大社かたりべガイドの会」の会長・江角さんにお話をうかがいました。
初めて出雲大社を訪れるなら、昔から歩かれている正門からの正式なコースで参拝するのがおすすめです。正門にあたる@勢溜の大鳥居(二の鳥居)からスタートし、A祓社(はらえのやしろ)を参拝したら、B参道をまっすぐ進みC拝殿D八足門(やつあしもん)と巡ります。
コースを覚えていざ出発、の前に参拝作法を覚えておくとよいと江角さん。
「鳥居の下では一礼、参道の真ん中は神さまが通る道なので端を歩くこと。これはほかの神社も共通の作法ですね。神社の拝礼は一般的に『二礼・二拍手・一礼』ですが、ここ出雲大社では『二礼・四拍手・一礼』のようにおこないます。これは大分県宇佐市の宇佐神宮(うさじんぐう)と新潟県弥彦村の弥彦神社(やひこじんじゃ)の三社だけの拝礼方法なんですよ」。
この参拝ルートの最初の重要なポイントとなるのがA祓社(はらえのやしろ)。勢溜の大鳥居をくぐるとすぐ右手にある社です。
「小さなお社ですが、とても大切な神さまがお祀りされています。罪や穢れを祓い清めてくださる祓戸四柱の神(はらえどよはしらのかみ)です。大国主大神のご神威をいただく前に参拝して、心身を清めましょう」。
祓社で参拝した後は、拝殿までまっすぐ続く参道。すがすがしい松並木を抜けて銅の鳥居(四の鳥居)をくぐった先で注目したいのが神馬・神牛像。鳥居左手にあり、どちらもたくさんの参拝者に鼻をなでられてつやつや光っています。
江角さんには「神馬は子宝安産に、神牛は学力向上に御利益があるといわれています」と教えていただきました。
次はいよいよC拝殿での参拝です。二礼・四拍手・一礼でお参りしたら、D八足門で御本殿をお参りしましょう。
「一般的に御本殿と御神体は同じ方向を向いているものですが、出雲大社では御本殿は南向き、御神体はなぜか西向きです。八足門沿いに瑞垣の周囲を歩くと西側の遙拝所で御神体に向かって参拝することもできます」と江角さん。
さらに瑞垣沿いを進むと御本殿の後方へ。ここから仰ぐ高さ約24m、日本最大を誇る御本殿は、圧倒されるスケール。また、ここには摂社、素鵞社(そがのやしろ)があり大国さまの親神にあたる素戔嗚尊(すさのおのみこと)をお祀りしています。江角さんいわく、素鵞社にも特別な参拝方法があるのだとか。
「稲佐の浜で砂を拾い集めた砂を素鵞社に納め、素鵞社の清められた砂を持ち帰って家の周りにまくと御利益があるといわれています」。
御本殿を一周したら、神楽殿へ向かい日本最大級のしめ縄や、晴れていれば掲げられる日本最大の国旗を見学したりして参拝終了です。
出雲大社の広い境内はすがすがしい気に満ちています。なかでも江角さんが好きなのが@勢溜の大鳥居の先で振り返ったときの眺めだそうです。
「勢溜の大鳥居の手前には神門通りが続いています。そのさらに先には一の鳥居である宇迦橋の大鳥居があるのですが、この場所からは勢溜の大鳥居の中に宇迦橋の大鳥居がすっぽりと入って見えます。まっすぐ参道が続いているのが見てとれるこの眺めは、何度見ても飽きません」。
江角さんが会長をつとめる「出雲大社かたりべガイドの会」では、ここで教えていただいた情報のほかにも、見どころや歴史などのお話もたくさん聞けるそう。
「境内の心が洗われるような空気のなかでガイドの話を聴くのは、格別の体験になると思います。定時ガイドは予約不要で年末年始以外毎日開催しているので、ぜひ参加してみてください」と教えていただきました。