地元で「おすわさん」と親しまれる諏訪神社(すわじんじゃ)は、長崎の総氏神。絢爛豪華な大祭、長崎くんちは日本三大祭のひとつに数えられ、国の重要無形民俗文化財にも指定されています。
この「おすわさん」の密かな名物が、ユニークな狛犬群。
こよりを脚に結んで、禁酒・禁煙・受験のすべり止めなどを祈願する「止め事成就の狛犬」を始め、頭の皿に水を掛けて祈願する「カッパ狛犬」、姿形がユーモラスな「立ち狛犬・逆立ち狛犬」など、さまざまな狛犬が境内に点在しています。
普通の狛犬もあわせると、その数なんと17組34体。
なぜこのように狛犬がたくさん集まっているのでしょうか?
諏訪神社宮田さんにお話をうかがうと「20年ほど前の宮司さんが、狛犬が大好きな方だったそうです。市内で不要になった狛犬を集めてきたり、新たに作ったりして狛犬が数多く集まったと聞いておりますね」と教えていただきました。
三重県熊野市にある大馬神社(おおまじんじゃ)の狛犬はなんと岩!
世界遺産であり、国の天然記念物にも登録されている獅子岩が阿の岩、隣の人面岩とも呼ばれる神仙洞が吽の岩とされています。
古くは、海に向かって吠えるような獅子と人面の間に川が流れ、海から船で参拝に訪れる人々を出迎えていたといいます。
当時の人々にとっては、驚くべき景色だったことでしょう。
大馬神社の里宮が位置するのは、ふたつの岩がある七里御浜海岸から井戸川沿いに北上して約2km。奥宮があるのは、里宮からさらに4kmほど川を上流に向かい、車一台がやっと通れる山道を登り詰めた場所に位置しています。
大馬神社の社伝による創始は、大同5年(1469年)。坂上田村丸が賊の首を地中に埋め、その上に社殿が造られたのが始まりと伝えられています。
境内は、苔むした石畳や見上げるばかりの大杉、清冽な水が流れる清滝があり、壮観のひと言。七里御浜海岸の狛犬を見てから奥宮を参拝すれば、一層自然の驚異を感じられそうです。
最後に紹介するのは、武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)です。
こちらの神社は、境内に「おいぬ様」と呼ばれる大口真神社(おおくちまがみしゃ)があり、戌年の初詣にぴったり。狛犬は犬の祖先であるオオカミをモチーフに作られています。
「おいぬ様」だけあり、参拝も犬ウェルカム。
御岳山山頂にある武蔵御嶽神社へは、ケーブルカーでアクセスしますが、車内にペットエリアがあり犬の同乗OK。手水舎には犬用の桶があり、犬用の形代も用意されています。
「おいぬ様」と犬ならぬオオカミの縁は、創建の理由に由来します。
日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征で御岳山を訪れたとき、邪神に行く手を阻まれ、白オオカミに助けられました。日本武尊が、白オオカミにこの御岳山に留まりすべての魔物を退治するように伝えました。以来、白オオカミは大口真神となりこの地に祀られ、魔除け・火難・盗難・病気・憑物など災厄守護の御神徳が伝えられてきました。
武蔵御嶽神社が位置する御岳山は標高929m。
晴れていれば都心部まで見渡す絶景が広がります。12月31日~1月1日は、ケーブルカーが終夜運行されるので初日の出観賞にもおすすめです。