中身を隠されると・・・。
気になってしまうのが御守り。
そもそも、そんなヨコシマな気持ちは持ってはいけないのでしょうか?
オリジナリティあふれる御守りを取りそろえる、京都左京区の平安神宮(へいあんじんぐう)にお伺いしました。
「御守りの中は、一般的には紙や木の札です。実は、これが御守りそのもので、外側の袋は御守りを保護するためのものです。
紙や木の札に、願意ごとに祈請(きせい)し、祈願を込めているので御守りは粗末に扱ってはいけません。目にしては失礼にあたり、恐れ多いものです」。御守りの中身=御神体のようなもの、ということを忘れてはいけません。
そういえば「たくさん御守りを持ちすぎると、ケンカする」なんていうことも聞いたことがあるようなないような・・・。
「そのようなことはありません。日本の神さまは皆さん仲良しですから。持ちやすく、好きなものを、好きな数お持ちになればよいと思います。ただし、持つからには大切に。そして、神さまに守られているのだという意識を忘れずに身に付けることです。そこがいちばん大切です」。
やはり1年に1度、御守りは取り替えるべきでしょうか?
「日本には古くから『常若の思想』があり、物事のエネルギーを常に新鮮に保つことが重要視されています。伊勢の神宮でおこなわれる式年遷宮も、そのような理由からです。
御守りも同じで、なるべく1年に1度取り替えて、新しいお力をいただくとよいですね。新しいものをお求めになるときは、古い御守りを持って神社へ行き、叶ったお願い事のお礼参りをしましょう」。
「それは可能です」とおっしゃるのは日本三大稲荷で知られる、笠間稲荷神社(かさまいなりじんじゃ)。
そもそも、家の中に神さまを祀るのが神棚。それに対して、屋外に神さまを祀った場合は神社ではなく邸内社(ていないしゃ)と呼ぶそうです。
「もとは氏神さまの御分霊を招いて守護神としていましたが、現代ではお稲荷さまや八幡さまなどを招いてお祀りするようになりました。お稲荷さんを祀る稲荷社は、もともと農家が作物の豊穣を願い広がりましたが、今は農家以外の一般的な家でも、商売繁盛・産業興隆・家内安全などを願って、敷地内に稲荷社をお祀りするところが増えました」。
しかし、実際に邸内社を自宅に建てることは、そう気軽にというわけにはいかないようです。
「まず、神さまをお招きするご本人が直接神社に来社し、神社に御分霊をいただきたい旨をお申し入れ下さい。御分霊とはお札をもらうこととは違い、神さまそのものをお迎えすることなので簡単ではありません。当社では、直接ご来社頂き、面談を通してきちんとご奉仕することができる方だけにお譲りしています」。
神さまを自宅にお迎えする、それなりのルールを踏まなくては・・・ですね。
「御分霊をいただきましたら神殿をお清めし、お祀りいたします。神職にお願いするのがよいでしょう。
お社の方角は、神仏を祀るのに吉方である乾(いぬい)=北西、または巽(たつみ)=南東がよく、神さまは南か東向きになるのがよいでしょう。あまり日影にならずに、参拝しやすい場所で、トイレや下水道の近くなど不浄な場所は避けてください。また、土台を住まいの床より高く。周りには適度に榊などの樹木を植えるのもよいでしょう。
可能でしたら毎日お参りし、米・酒・塩・水などを朝方にお供えし、家長・社長参拝のあとお下げし、献じた品は調理していただきます。毎日が難しい場合は、毎月1日・15日、またお稲荷さんでしたら午の日などの御縁日に神饌を上げるのがよいかと思います。また、祀りはじめた日や会社の創立日など、特別な日にもお参りして下さい」。
鳥居はまさに神社のシンボル。
地図上でもすぐにわかる、日本人なら親しみを感じるあの形。
鳥居の形にはどのような意味があるのか、その起源は何かを、「鳥居の大きさ日本一」といわれる熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)に聞いてみました。
「鳥居の起源は定かではありませんが、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天の岩屋にお隠れになった際に、八百万の神々が止まり木に止まった鶏を鳴かせたことから、「鳥居」の名称になったという説があります」。まさに、鳥が居て鳴いたわけですね。
「文献上では皇大神宮儀式帳(こうたいじんぐうぎしきちょう)に鳥居の記述があり、8世紀頃にはすでに存在したと考えられています」。
ほかにも「神さまが天から降りてくるときの目印」説や、「鳥が神さまの乗り物だった」説もあるようです。
では、「あの形」については?
「こちらも定かではありませんが、古来人と神の領域を隔てる結界として、門の形を簡素に作ったのがはじまりでした。木を2本立て、その上に横に1本の木を乗せた形です。それが、時代を経てさまざまな種類の鳥居が作られるようになったと考えられています」。
門の形を基本にして、実は鳥居のバリエーションはたくさんあるのですね。今度神社に行ったら、よく観察してみます!