受験や転職、結婚など人生の岐路に立って迷っている人におすすめの初詣先は、三本足のカラス、八咫烏を神使としている熊野三山です。
八咫烏といえば、日本サッカー協会のシンボルマークやサッカー日本代表のエンブレムとして使われていますが、足の守り神ということではありません。
神武天皇東征のときに熊野から大和へむかう神武天皇を道案内したことから、「導きの神鳥」として信仰されているのです。
熊野三山は、
熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)・
熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)・
熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)の3社のこと。
和歌山県の紀伊山地東南部にあり、熊野参詣道によって結ばれています。
それぞれに自然崇拝の起源を持っていますが、3社の主祭神を相互に勧請し、神仏習合の歴史をへて熊野三所権現として信仰されるようになり、熊野詣の目的地としてさかえてきました。
熊野三山や熊野古道は、ミシュランの三つ星「わざわざ旅行する価値がある」の評価を受け、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産でもあります。
年末年始を利用すれば、魅力ある三社をめぐることもできそうです。
それでも、熊野は遠いという人は三山の御祭神の勧請を受けた全国約4000社ある熊野神社へ。
有名なのは山形県南陽市の
熊野大社(くまのじんじゃ)や、兵庫県神戸市東灘区の
弓弦羽神社(ゆづるはじんじゃ)など。ご近所の熊野神社や熊野の神さまを祀る神社を探してみてください。
日本全国に「八幡」と名が付く神社は数多く、「神社といえば八幡なり」ともいわれてきました。
この八幡宮と結びつきが強いのが鳩です。
八幡社の多くでは、応神天皇とその母である神宮皇后を祀っています。応神天皇が国内を平定するときに、水先案内人となったのが鳩であったとされ、以来、鳩は八幡神の使いであると伝えられています。
多くの八幡宮では、額の「八」の文字が向かい合う鳩で描かれていたり、鳩の御守りがあったりすることも。
しかし、八幡宮のルーツである
宇佐神宮(うさじんぐう)には鳩モチーフが見当たらず、宇佐神宮から859年に勧請された
石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)や石清水八幡宮から平安末期に鎌倉に勧請された
鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)には、鳩モチーフが見受けられます。
神使を鳩とするのは、石清水八幡宮から勧請された八幡宮が多いのかもしれません。
伊勢神宮(いせじんぐう)を参拝したときに、境内でのびのびと放し飼いにされているニワトリに気づいた人も多いのではないでしょうか?
伊勢神宮では、ニワトリを神鶏と呼び大切にしてきました。
内宮の御祭神である天照大神(あまてらすおおみかみ)が、ニワトリに深いご縁があるからです。
天岩戸に隠れてしまった天照大神を誘い出すために、神々が最初にしたことが闇夜に長く長く鳴く長鳴鳥をたくさん集めてきて鳴かせること。
天照大神が隠れている限り夜が明けないはずなのに、夜明けを告げる鳥の声を聞かせるという奇策ですね。
この長鳴鳥はニワトリのことだとされています。
20年に1度社殿を建て替える式年遷宮でも、クライマックスにあたる最も重要な神事「遷御の儀」は、天岩戸伝説にならって神職によるニワトリの鳴き声が3回繰り返されることによってはじまります。
内宮・外宮ともにニワトリがいますが、よく見られるのは内宮の参集殿周辺。
初詣におとずれたら、神鶏にも新年のあいさつすれば、よりおめでたい一年を始められそうです。