今回の「神さまの山へ1日トリップ」で訪れたのは、群馬県高崎市に鎮まる榛名神社(はるなじんじゃ)です。
ガイドブックなどでは必ず「パワースポット」の冠が付き、20代の女子から神社に興味のない年配の男性まで「榛名神社はいい!」と口をそろえる、なんとも気になる神社だったのです。
一体何が「いい!」のか、あきらかにする前に、まずは榛名神社がどんな神社かおさらいしてみましょう。
社伝による創始は今からおよそ1400年前。平安時代に全国の主要な神社を書き上げた延喜式神名帳に記載されている格式の高い神社です。
中世には一時衰退したものの天台宗の僧侶・天海により復興。徳川家康の側近だった天海は、将軍家の菩提寺である上野寛永寺の初代住職だったことから、榛名神社も寛永寺に属し明治時代の神仏分離まで神仏習合の歴史を持っていました。
御祭神には、鎮火開運の火産霊神(ほむすびのかみ)と五穀豊穣の埴山毘売神(はにやまひめのかみ)をお祀りしています。
榛名神社が鎮座するのは、「巌山」と呼ばれる15万uもの境内地。
高崎駅からレンタカーを借りて1時間ほど。山道を抜けて一の鳥居を通り過ぎると、みやげ店兼食堂が連なる参道の町並みがはじまります。
駐車場に車を停めて歩いて行くと、立派な随神門がおでむかえ。ここから約700mの参道が清流にそって続いています。
いざ、門をくぐると雰囲気が一転。頭上を覆う木々とせせらぎの音、鳥のさえずりのみが聞こえる別世界が広がります。美しい参道の様子に感嘆するのは誰しも同じようで、前後して門をくぐった中年の女性グループや海外からの観光客、もちろん編集部のメンバーも全員がカメラを取り出して思い思いに撮影していました。
この参道はそのあとも実に多彩な見どころがあり、七福神巡りができたり、安藤広重に名所として描かれた行者渓があったりと歩いていて飽きることがありません。
なかでも感動し「榛名神社はいい!」と言われる由縁だと思われるのが、次々と現れる巨岩奇岩です。
参道入り口から、さまざまな巨岩があらわれますが、おもしろいのは社殿に近づくほど参道と岩の距離が近づいてくること。
最初に見える鞍掛岩は川向こうにありますが、参道の終着点である双龍門までくると岩の間を通り抜けるような状態に。さらに、榛名神社の奇岩を代表する御姿岩は、本殿が岩に一体化するように建てられています。
胎内に御神体が鎮まるこの岩の上には、今にも転がり落ちそうなバランスで、もう一つの岩が乗っています。神が降り立つとも、神さまそのものの姿であるとも言われているそうですが、不思議な岩の様子を見ればそれも誠かと思わせるものがあります。
社殿の周りは御姿岩以外にも岩山に囲まれていて、仙人が出てきそうな趣。
岩と離れたり近づいたりと距離を変えてみると、また違った迫力が感じられて見飽きることがありません。
約700mの参道は普通に歩けば片道徒歩10分ほどですが、往復で1時間半ほどかかっていました。それほどまでに感嘆する景色の連続だったのです。
再び随神門に戻ってくるころには、すっかり心が洗われた気分になっていました。