日立風流物(ひたちふうりゅうもの)は、可動・変形する山車とその上で演じられる操り人形芝居のこと。巨大な山車がストーリーにあわせて変形し、人形がさまざまに動く様子はおどろくばかりの迫力です。
山車は昭和39年(1595年)に国の重要有形民俗文化財に、操り人形芝居は昭和52年(1977年)に国の重要無形民俗文化財に、さらに2009年にはユネスコの世界無形文化遺産の代表リストへの記載が決定されました。同一の行事で、3つの文化財・文化遺産の指定を受けているのは京都祇園祭と日立風流物のみ。
元禄8年(1695年)に徳川光圀公の命によりおこなわれた神峰神社(かみねじんじゃ)の例大祭で山車が繰り出されたことからはじまり、享保年間には人形芝居が加えられ、現在の様式に発展を遂げました。
上演されるのは『仮名手本忠臣蔵』など、歌舞伎でもおなじみの物語。1台につき人形や舞台を動かす人や鳴り物の担当など、総勢70名もの人たちが息をあわせ、ほかに類を見ない芸能を作り出しています。
全4台の山車が一堂に見られるのは、7年に1度おこなわれる神峰神社の大祭禮のみ。次回の開催は2019年とまだまだ先ですが、毎年4月に開催される日立さくらまつりで、1台は見ることができます。
毎年7月14日におこなわれる那智熊野大社(なちくまのたいしゃ)の例大祭、那智の扇祭りで奉納されているのが那智の田楽です。
那智の火祭ともいわれる扇祭りは、那智熊野大社に祀られている滝の神が年に一度、滝本の飛瀧神社への里帰りをして御神威を新たにするという祭り。12体の神々の姿を表した扇神輿が渡御し、参道で12本の大松明がお迎えする様子はニュースでも取り上げられています。
那智の田楽は、神輿渡御に先駆けておこなわれる芸能。
五穀豊穣を祈りながら、板で作る特有の楽器ビンザサラや太鼓などを打ち鳴らし、陣形を変えながらテンポ良く踊るのが特徴です。
室町時代に京都から伝わったとされ、その様式は田楽舞の創成期の形を現代に伝えているといわれています。
貴重な芸能は、昭和50年(1975年)に制定された重要無形民俗文化財の第1回の指定を受け、2012年にはユネスコの無形文化遺産に登録されました。
毎年1月15日の小正月に海南神社
(かいなんじんじゃ)で奉納されるチャッキラコに出演するのは女性のみ。それも主役は、5歳~12歳までの少女たちです。
年配の女性の唄に合わせて20名ほどの少女が踊る民俗芸能で、新年に豊漁・豊作や商売繁盛を祈願するために続けられてきました。
はじまりは、海南神社の御祭神、藤原資盈の奥方盈渡姫が庶民の娘に教えたという説と源頼朝が磯取りをしていた親子に舞を所望し、母親が唄い、娘が舞ったという説があります。
江戸時代の書物に「十五日女児集リ踊ル」と記されていることから、少なくとも約250年以上前から伝えられてきたものだと推測されています。
赤い晴れ着を着たあどけない少女たちの踊りは、素朴でほほえましいものながら、新年を祝うのにふさわしい華やかさがあります。
海南神社のある三崎港はマグロが水揚げされることから、マグロ料理が名物。
グルメも楽しめる新春のドライブがてらに、立ち寄ってみてはいかがでしょうか?