京の三奇祭といえば、「鞍馬の火祭」と「太秦の牛祭」、そして今宮神社(いまみやじんじゃ)の「やすらい祭」。
祭りが斉行されるのは毎年4月の第2日曜。この日が晴れれば、その年の京都のお祭りすべてが晴れになるともいわれ、本格的な春の訪れを告げるさきがけの祭りとして親しまれています。
祭りでは、桜やツバキで飾られた花傘と赤毛・黒毛の鬼からなる行列がお囃子にあわせて練り歩き、家々の門々で大鬼がやすらい踊りを奉納。桜の花を背景に、8人の鬼たちが髪を振り乱して踊るようすが祭り最大の見どころになっています。
祭りが行われるようになった平安時代は、日照りが続けば作物が実らず飢饉に陥り、雨が続けば疫病が蔓延した厳しい時代。
桜が散るころに疫病が流行したことから、花の精にあおられて陽気の中に飛散する疫神が悪疫を広げると考え、散る花を押しとどめ疫神を鎮めることで無病息災を祈願したのが「やすらい祭り」の起源と伝えられています。
囃子や歌舞は疫神を追い立てて花傘に宿らせるため。
なんとも京都らしく雅やかな疫病退散のお祭りです。
東京・浅草は、日本一の靴の生産地。
メーカーはもちろん、問屋、革の販売業者から、靴の製作を学べる学校や靴の検査所、研究機関まで、靴にまつわるありとあらゆるものがそろっています。
氏子地域に靴メーカーがある玉姫稲荷神社(たまひめいなりじんじゃ)のお祭りは、「靴の街 浅草」らしく靴がテーマ。春と秋の年2回「靴のめぐみ祭り市」が開催されています。
お祭りの目玉は、30社以上のメーカーによる10万点以上靴の販売。市価の60〜
80%オフという激安販売に、5万人もの人が訪れます。めずらしい靴神輿や靴の無料供養なども斉行し神社と氏子の靴メーカーさんとのお付き合いから誕生した祭り&市らしい内容になっています。
ちなみに、社務所で授与されている今戸焼きの狐は、商売繁盛と縁結びの縁起物。
商売繁盛を祈願する人は羽織姿の立ち狐を、縁結びを祈願する人は袴姿の座り狐を求めて、願いがかなったら夫婦狐にして神社に納めるならわしがあるそう。
祭りで神社を訪れた際には、江戸時代から続く願掛けもお試しください。
最後にご紹介するのは、筑波山の名物「ガマの油売り」をテーマにした筑波山ガマ祭り。
「さぁさぁお立ち会い〜」と始まるガマの油売りの口上では、ガマの油は「火傷・皹・アカギレ・霜焼の妙薬・金創には切傷・出痔・疣痔・走り痔・脱肛・鶏冠痔・横根・雁草・瘍・梅瘡、打ち身・くじき・はれもの一切の病に効きまする」とされる軟膏。筑波山にすむ自分を美男と信じるカエルを鏡張りの部屋に入れると、自分のあまりの醜さにたら〜りたら〜りと脂汗を流し、それを集めたものなんだとか。
このユニークな口上は、およそ200年前に筑波山麓出身の永井平助が、江戸・浅草の縁日で披露したのがはじまり。筑波山の名物となり、参拝者がこぞってガマの油を買い求めたことでたいそう商売繁盛したそうです。この逸話にちなみ商売繁盛を願って開催されているのが筑波山ガマ祭りです。
当日は、筑波山神社(つくばさんじんじゃ)での神事やガマの油売りの口上、屋台村がおこなわれるほか、TGRこと「Tsukuba Gama Race」なる短距離レースも開催。
「ガマ祭り」だけあり、レース参加者全員がカエルのかぶりものを着用。筑波山門前通りをガマたちがモーレツな勢いで駆け抜ける様子は圧巻です。
レース参加者には筑波山神社での御祈祷、願い絵馬が受けられるという特典もあり。
開催は9月とまだ先ですが、レースは事前申し込みが必要なので今から特訓して、今年のガマキング・ガマクイーンを目指してみてはいかがでしょうか?