日本一といってもいいほど奇想天外かつ盛りだくさんの内容の節分祭を開催しているのが箱根神社(はこねじんじゃ)。
箱根神社は、縁結びのパワースポット九頭龍神社の新宮があることで知られていますが、2月3日は厳かな雰囲気が一転。
「楽しくなければ、祭りじゃない!」とばかりに、賑やかに節分祭が催されます。
スタートは、湖畔や町内を練り歩く時代行列。境内に行列が入ったあとは、金太郎伝説に由来した寸劇、ダイソンの掃除機や高級寝具エアウィーヴなど本気で欲しくなる豪華景品が当たる豆まきが催されます。この間の境内では、同時開催中の「わかさぎ祭り」の一環として揚げたてのワカサギフライや豚汁、御神酒が無料で振る舞われるのがうれしいところ。豆まきや名物料理を堪能したころ、祭りの舞台は芦ノ湖へ移動。
なんと境内から逃げ出した鬼が、湖を水上スキーで逃亡し、神職の方が同じく水上スキーで追い詰めるという「007」並のクライマックスが待っています。
スリリングな鬼の逃亡は、湖畔から見るだけでも十分楽しめますが、年男・年女や希望者により構成される「御年役」に申し込めば、遊覧船に乗って水上スキーで逃げる鬼へ豆をまくことができます。
湖畔から見ると、情け容赦なく鬼に豆を撒く人たちの様子がとても楽しそう。年男・年女の方たちは、ぜひ体験してみてください。
さらに、前日の2月2日には「冬景色花火大会」も開催されるので、箱根に泊まって花火と温泉も楽しむ旅行を計画してみてはいかがでしょうか?
怪異や物の怪、怨霊が世を乱していると思われていた平安時代。
厄を祓う節分祭は、今よりも真剣な祈りがこめられたものだったはず。
その当時の朝廷でおこなわれていた節分祭「追儺式」をリアルに再現しているのが、平安神宮(へいあんじんぐう)の節分祭でおこなわれる「大儺之儀(だいなのぎ)」です。
平安神宮は、明治28年(1895年)に平安遷都1100年を記念して創建され、平安京大内裏の一部を再現した社殿を有しています。
「大儺之儀」は、この社殿を舞台に14時に始まります。
忌竹と注連縄で張られた結界に登場するのは、童を率いた陰陽師や四つの黄金の目を持つ大男・方相氏など、まか不思議な人々。
神さまの食事である神饌が供えられ、陰陽師のとなえる祭文が奏上されると、「鬼は外」の平安版の掛け声「鬼やろう」とともに矛で盾が打ち鳴らされ、邪気を祓うと言われる桃の木で作られた弓から矢が放たれ、杖を打つ儀式が繰り返されます。
式次第はもちろん、衣装や所作などの細部にいたるまで、綿密に時代考証がおこなわれているものだそう。
朱色の柱に囲まれた大極殿下で、不思議な人々の不思議な儀式を見るうちに、物の怪が飛び交っていた平安の世に迷い込んでしまった感覚になりそうです。
「大儺之儀」に続いておこなわれる鬼の舞や、福豆撒きのあとの「大火焚神事」も迫力があり見応え十分。
午前11時半からは無料で観覧できる狂言も開催されているので、春の始まりを平安の趣たっぷりに過ごすことができます。
鬼の苦手なものをご存じですか?
それは、焼いたイワシの臭いと鬼の目を刺す尖った柊のトゲ。
節分の日に、焼いたイワシの頭を柊に刺して戸口や門口に掲げる「焼嗅(やいか)がし」「柊イワシ」は鬼除けの意味があります。
1匹分のイワシの頭だけでも鬼よけになるとされているのに、1000匹ものイワシを盛大に焼いているのが住吉神社(すみよしじんじゃ)です。
「焼嗅がし神事」と呼ばれるこの節分祭は、平安時代におこなわれていたものだそう。
当日は、「集団食中毒」や「詐欺被害」「偽ノーベル賞候補」など、世相を反映した言葉を背中に貼った、赤鬼・疫病神・貧乏神・世間を騒がせた人々などが次々と登場。イワシに引き寄せられていきますが、たたみ一畳分の大うちわで煙を送られ撃退されます。
人々を苦しませた鬼たちが、これはたまらんとばかりに退散していくのが痛快な一方、巫女さんたちが鬼に目をくれずにもくもくとイワシを焼いているのがシュールで、思わずニヤリとしてしまいます。
ユニークな神事と定番のくじ付き福豆撒きを楽しんだら、焼嗅がしを分けていただくのを忘れずに。玄関に飾って家でも厄祓いをすれば、清らかな2015年を始められそうです。