「バンザ〜イ!」と盛り上がる映像とともに、2013年6月22日、富士山が世界遺産に登録されたというニュースが伝えられました。富士山の世界遺産登録名称は「富士山−信仰の対象と芸術の源泉」。全25の構成資産のうち三分の一近い8資産に、富士山をご神体とする浅間信仰の神社が登録されました。浅間信仰の神社は、富士山本宮浅間大社を総本宮とし、その姿の美しさから桜の化身とも考えられているコノハナサクヤヒメノ命(別称:浅間大神)を祀っています。同じ浅間信仰の神社といっても、建物の様式も成り立ちもさまざま。富士山の周りをドライブしてそれぞれの違いを見比べながら、8社の御朱印を集めるのも楽しそう。新たに世界遺産になった8社をご紹介しましょう。 ◆静岡・富士宮市/富士山本宮浅間大社(ふじさんほんぐうせんげんたいしゃ) 第7代孝霊天皇の御代に大噴火した富士山を鎮めるために第11代垂仁天皇が創建。富士山を鎮めるために浅間大神を祀った最初の神社であり、全国の浅間神社の起源になっています。うっとりするほどの華やかな、朱塗りの社殿群は一見の価値あり。富士山頂には奥宮があり、富士山8合目以上の120万坪は境内地。 ◆山梨・富士吉田市/北口本宮冨士浅間神社(きたぐちほんぐうふじせんげんじんじゃ) 富士山の価値にとって特に重要な地域は、「富士山域」として構成資産に登録されました。「富士山域」に唯一含まれるのが、北口本宮冨士浅間神社です。 社伝による創建は、景行天皇40年(110)。日本武尊が東征の時に「この地より富士を拝すべし」と命じたことが起源と伝わっています。 見上げるほどの巨木と大きな灯篭が並ぶ参道は、一度は歩きたい趣を備えています。 ◆静岡・富士宮市/山宮浅間神社(やまみやせんげんじんじゃ) 富士山本宮浅間大社から北に6kmほどいった場所に位置する、富士山本宮浅間大社の前身。日本武尊(やまとたけるのみこと)の創建と伝えられています。本殿のあるべき場所に富士山を望む遙拝所のみがある独特な造りは、古代祭祀の様式を今に伝えるものと考えられています。 ◆静岡・富士宮市/村山浅間神社(むらやませんげんじんじゃ) 鎌倉時代末期に富士山における修験道が成立。修験道の中心地となったのがこの神社。遙拝から、登拝へ。信仰の移り変わりを感じることができます。 ◆静岡・裾野市/須山浅間神社(すやませんげんじんじゃ) 古い登山道のひとつ須山口に鎮座。江戸時代には江戸っ子たちの登拝ブームにより賑わいました。社伝では日本武尊創建。 ◆静岡・小山町/東口本宮冨士浅間神社(ひがしぐちほんぐうふじせんげんじんじゃ) 社伝では807年創建。須走口登山道の起点として多くの登拝者が道中の安全を祈願してきました。5千坪の境内の半分を占める「浅間の杜」内には、県の天然記念物になっているハルニレの大樹が、裏参道の鳥居横には縁結びの木として慕われる根上がりモミがあります。 ◆山梨・富士河口湖町/河口浅間神社(かわぐちあさまじんじゃ) 9世紀後半に起こった噴火を契機に、勅令により建立。河口湖畔からひっそりと富士山を見守っています。参道には樹齢800年の杉並木が、さらに奥に進めば樹齢1200年の「河口浅間神社の七本杉」が。巨木の杜に圧倒されるはず。 ◆山梨・冨士御室浅間神社(ふじおむろせんげんじんじゃ) 河口湖畔に里宮、二合目に本宮が鎮座。9世紀初頭に建立された伝承があり、富士山中にもっとも早く祀られたとも伝わります。武田家三代にわたり崇敬され、武田信玄公が北条氏政に嫁がせた長女黄梅院の安産を願った願文(山梨県文化財)などのゆかりの品も保管されています。