★歴史に触れてみる★

■[神さまになった人たち]

・歌人や貴族、思想家など偉人が神さまになっている
神社に祀られている神さまのなかには、実在した歴史上の人物も少なくありません。しかし、だれでも神さまになれるわけではありません。人が神さまに祀られるにはいくつかの条件があります。その1つは、強烈な恨みをもって死ぬことです。こうした霊は御霊として祀られます。もう1つは、常人をはるかに超えた能力を示すことです。能力についてはジャンルを問いません。「神」のごとき力量・人格があると人々が認めたとき、その人は神さまとして崇められるようになるのです。

・信長も秀吉も家康も神さまになっている
人神としてもっとも有名なのは、豊臣秀吉(1537〜1598年)と徳川家康(1542〜1616年)です。秀吉を祀るのは豊国(ほうこく)神社(分社によっては「とよくに」と読むこともある)です。生前、秀吉は八幡大菩薩(はちまんだいぼさつ)として祀られることを希望していましたが、下賜(かし)された社号は「豊国大明神(ほうこくだいみょうじん)」でした。しかし、神階(しんかい)は正一位(しょういちい)という高いものでした。
家康も死後に神さまに祀られましたが、神号のついては幕府ブレーンの間で論争があり、吉田神道の流れを汲む梵舜(ぼんしゅん)と崇伝(すうでん)が「大明神」号を主張したのに対し、山王一実(さんのういちじつ)神道による天海は「大権現」にすべしと説きました。大明神を称した秀吉の社が早くに廃れてしまったこともあって、大権現号とすることに決まり、元和(げんな)3年(1617年)に東照大権現の神号と正一位の神位が朝廷より追贈されました。ちなみに、織田信長(1534〜1582年)も建勲(たけいさお)神社(通称「けんくんさん」、京都府京都市)に祀られています。

・全国各地の藩でも殿さまを神さまとして祀る
おそらくは東照宮の例に倣(なら)ったのであろう、藩祖(はんそ)(初代藩主)あるいは歴代藩主を祀る神社も多く、松前藩藩祖の武田信広(たけだのぶひろ)を祀る松前神社(北海道松前郡松前町)、南部藩祖の南部信直(なんぶのぶなお)などを祀る桜山神社(岩手県盛岡市)、上杉謙信を祀る上杉神社(山形県米沢市)、松江藩祖の松平直政(まつだいらなおまさ)を祀る松江神社(島根県松江市)、徳山藩祖の毛利就隆(もうりなりたか)を祀る祐綏(ゆうすい)神社(山口県周南市)、阿波藩歴代藩主を祀る国瑞彦(くにたまひこ)神社(徳島県徳島市)、土佐藩歴代藩主を祀る山内神社(高知県高知市)、福岡藩藩祖と第二代を祀る光雲(てるも)神社(福岡県福岡市)などがあります。 源満仲(みなもとのみつなか)(913〜997年)・源頼光(みなもとのよりみつ)(948〜1021年)・源頼義(みなもとのよりよし)(998〜1075年)・源頼信(みなもとのよりのぶ)(968〜1048年)が祀られる多田神社(兵庫県川西市)は、もとは多田院という寺院でした。戦国武将で熊本藩の藩祖でもある加藤清正(1562〜1611年)は、虎退治などエピソードの多い人物ですが、熊本では「清正公(せいしょうこう)」「せいしょこさま」と呼ばれて、今でも崇敬を受けています。熊本市内の加藤神社で祀られるほか、日蓮宗寺院でも祀られることがあります。墓のある覚林寺(かくりんじ)(東京都港区)は通称を「清正公」といい、5月4日・5日には清正公大神のお祭りがおこなわれています。

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■なかなか拝見できない神宝って何?

・古代には霊的な呪物を指した
「神宝」と書いて「じんぽう(しんぽう)」と読みます。「かむだから」と読むこともあります。文字どおりにとれば神さまの宝物という意味になり、神社の宝物類はすべて「神宝」ということになります。その代表が三種の神器で、よく知られているように、三種の神器は、地上の平定のために高天原から降臨する邇邇芸命(ににぎのみこと)に天照大神が授けたもので、皇位の象徴とされるものです。具体的には、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)・八咫鏡(やたのかがみ)・草薙剣(くさなぎのつるぎ)です。曲玉(勾玉)・鏡・剣はご神体としてよく用いられています。

・霊力をそなえた神宝は各地の王権の象徴だった
物部氏の祖神である邇芸速日命(にぎはやひのみこと)は、高天原から降臨したときに十種神宝(とくさのかむたから)をもってきたと伝えられています。これは沖津鏡・辺津鏡・八握(やつか)剣・生玉・死反玉(まかるかえしのたま)・足玉(たるたま)・道反玉(みちかえしのたま)・蛇比礼(おろちのひれ)・蜂比礼(はちのひれ)・品物比礼(くさぐさのひれ)のことで、数は多いけれども、鏡・曲玉・剣からなっているところは三種の神器と同じで、これに比礼(スカーフ状の装身具)が加わっています。
時代が下ると、神さまの日用品が神宝になっていきます。

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